研究課題
本研究の目的は骨軟部肉腫においてその悪性度に寄与していると考えられている肉腫幹細胞(Sarcoma stem cell)の存在を示し,肉腫幹細胞に対する新たな治療法である炭酸ガス経皮投与の有用性を評価することである.肉腫幹細胞の単離・培養のため,当研究室で以前より基礎研究に用いてきたヒト悪性線維性組織球腫(MFH)由来細胞株2株(TNMY-1,Nara-H),ヒト骨肉腫由来細胞株2株(MG63,KHOS)を用い,CD24,CD29,CD44などを幹細胞マーカーとした発現陽性および陰性細胞のsortingを行い,個別培養を行ったところ,in vitroにおいては発現陽性,陰性での細胞増殖能に差がある傾向をみとめたが,ヌードマウスへの移植では良好な生着が得られず,モデルマウスの作製・確立には至らなかった.肉腫幹細胞に関連して,がん細胞における”Stemness”,つまり細胞の未分化能に着目し,上記細胞株培養時における酸素濃度が未分化能の指標となるiPS関連遺伝子(Oct3/4,SOX2,c-myc,Klf-4,Nanog)に加え,抗アポトーシス因子Survivinなどの発現に与える影響について検討したところ,低酸素環境では通常酸素環境と比較して,発現増強がみとめられた.また上記細胞株皮下移植モデルマウスに対して炭酸ガス経皮投与による治療を行ったところ,同因子の発現が低下することが確認され,骨軟部肉腫において腫瘍内低酸素環境が未分化能を増強させることことで腫瘍増勢を生じ,炭酸ガス経皮投与による局所酸素環境の改善がその発現低下によって,抗腫瘍効果を示す可能性が示唆された.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)
Int J Oncol
巻: 50(1) ページ: 23-30
10.3892/ijo.2016.3775.
J Foot Ankle Surg
巻: 55 ページ: 838-841
10.1053/j.jfas.2015.04.020.
巻: 48(4) ページ: 1493-1498
10.3892/ijo.2016.3380.
Head Neck
巻: 38(8) ページ: 1170-1175
10.1002/hed.24194.