研究課題/領域番号 |
26462266
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新倉 隆宏 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命講師 (40448171)
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研究分担者 |
李 相亮 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40533732)
岩倉 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60437473)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 難治性骨折 / 炭酸ガス / 骨欠損 |
研究実績の概要 |
われわれはこれまでにラットを用いた研究で、炭酸ガス経皮吸収療法を行うと骨折治癒が促進されることを報告している。本研究の目的は、炭酸ガス経皮吸収療法の難治性骨折治療への有効性、また、その至適治療条件を検討することである。難治性骨折とは、骨折部の悪条件によって治癒しにくい骨折のことであり、臨床において大きな問題となる。交付申請書に記載した平成26 年度の研究計画は、高エネルギー外傷による難治性骨折を模した動物モデルを作成し、これに対する炭酸ガス経皮吸収療法の有効性、至適治療条件を検討することであった。高エネルギー外傷による骨折部の悪条件を模するため、骨膜損傷と骨欠損という二種類の条件を設定した。本年度における成果として、これら二種類の難治性骨折を模した動物モデル作成手段を確立した。骨膜損傷モデルでは、ラットの大腿骨に三点曲げ外力にて骨折を作成してKirschner 鋼線で髄内釘固定後、骨折局所を切開・展開し、周囲軟部組織を剥離、骨膜を焼灼することで再現性のある動物モデル作成手段を確立できた。骨欠損モデルでは、ラットの大腿骨骨幹部を骨切りして骨欠損を作成し、その近位と遠位を創外固定器で架橋固定することで再現性のある動物モデル作成手段を確立できた。この際、ラットの骨の大きさに適合する創外固定器作成において試行錯誤し、自作、開発することができた。また、4mm 以上の骨欠損であると何らかの治療介入なしには骨癒合しないことを確認した。これらの動物モデルを確立することまでは達成できたが、これらの骨治癒過程に対する炭酸ガス経皮吸収療法の効果を検討する段階にまでは至っておらず、次年度に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高エネルギー外傷による難治性骨折を模した動物モデル、すなわち骨膜損傷と骨欠損という二種類の動物モデル作成手段を確立することはできた。特に骨欠損モデル作成において、ラットの骨の大きさに適合する創外固定器は市販されておらず、試行錯誤することで自作せねばならず、これに時間と労力を要した。そのため、交付申請時に設定した、これらの動物モデルに対する炭酸ガス経皮吸収療法の効果を検討する段階にまでは到達することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
難治性骨折の動物モデル確立に時間を要したため、平成26 年度においてこれらの骨治癒過程に対する炭酸ガス経皮吸収療法の効果を検討する段階にまでは至っておらず、次年度に実施する予定である。ラットに炭酸ガス経皮吸収療法を実施する手段は、われわれの研究グループにおいて既に確立しているため、今後は順調に研究が進行するものと考えている。研究計画の大幅な変更予定はない。ただし、今後、骨延長に対する炭酸ガス経皮吸収療法の効果を検討する際、骨延長に用いる創外固定器の問題から、使用動物はラットではなくウサギの方が良い可能性があり、その方向で対応していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験必要物品購入費用が当初予定していたより抑えられたため若干の次年度使用金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において、実験必要物品購入に充てる予定である。
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