研究課題
平成28年度には、ウサギの脛骨骨延長モデルを確立した。ウサギの脛骨に創外固定器を装着し、架橋固定している部分で骨切りを行った。1日1mmで10日間、計10mmの骨延長を行った。しかし創外固定器の逸脱、骨折、変形といった不具合を経験したため、創外固定ピンの数を増やす、創外固定器設置位置を変える、骨切り位置を変える等の試行錯誤を行った。その結果、再現性の高い脛骨骨延長モデルを確立することができた。この動物モデルを用いて炭酸ガス経皮吸収を行い、骨延長による骨再生が促進されるか否かの検討は今後の研究課題となる。研究期間全体において、ラット難治性骨折モデルを確立し、この骨再生、治癒が炭酸ガス経皮吸収によって促進されることを見出した。この難治性骨折モデルは高エネルギー外傷による骨欠損を模したモデルであり、臨床において治療に難渋する難治性骨折の研究手段として有用と考えられた。また、ラットに麻酔を施さずとも炭酸ガス経皮吸収を行える、ラットを固定する装置を開発した。ラットの大腿骨中央部に全層骨欠損を作成し、炭酸ガス経皮吸収を行う群と行わない群で骨再生、治癒の過程を比較検討した。炭酸ガス経皮吸収は、骨欠損作成手術後、週5日間、1日20分間行った。患肢に炭酸ガス経皮吸収を促進するハイドロジェルを塗布し、周囲密封空間に100%炭酸ガスを充満させる手法を用いた。これらの手技は臨床で患者に適用するのと同様に実施した。平成27年度報告時よりも経過観察期間を延長し、骨欠損作成手術後8週間まで経過観察を行った。1週間毎に単純X線写真撮影、マイクロCT撮影、組織学的評価を実施した。X線学的な骨癒合評価において、両群間に統計学的有意差を認め、炭酸ガス経皮吸収を行った群の方が骨欠損部の骨再生、骨癒合が促進されることがわかった。また、組織学的にはこの骨再生促進は軟骨内骨化の加速を介している可能性が示唆された。
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