研究課題/領域番号 |
26462267
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保 忠彦 広島大学, 大学病院, 講師 (70397959)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
下瀬 省二 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (30304439)
藤森 淳 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 寄附講座助教 (70632256)
坂口 剛正 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70196070)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨肉腫 |
研究実績の概要 |
組換えウイルスの作成:大腸菌を用いてVSVゲノムDNA (pVSV-NX2、アクセッション・ナンバー:NC001560) に近赤外線蛍光蛋白KatushkaのcDNA (アクセッション・ナンバー:KF419293) を制限酵素部位 (NheI, XhoI) を介して挿入し,全長のDNAプラスミドを作成した。これをヘルパープラスミドであるpIRES-L,pIRES-N,pIRES-Pと共にT7 RNA polymeraseを発現するHamster腎由来BHK21細胞に導入して,組換えウイルスVSV-Katushkaを作成した。段階的に希釈したVSV-KatushkaをBHK細胞に感染させ、TCID50法で力価を測定した。 VSV-Katushka蛋白発現の確認:VSV-Katushkaを感染させたBHK21細胞を蛍光顕微鏡下で観察した。また、VSV-Katushka感染BHK21細胞の溶解液にVSV抗体、Katushka抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い、各蛋白の発現を確認した。 腫瘍細胞への投与:VSV-Katushkaを感染させたラット骨肉腫細胞MSKとヒト正常間葉系細胞MSCを蛍光顕微鏡下に観察した。低濃度の感染でもMSKのみに近赤外線蛍光を認め、腫瘍細胞特異性を確認した。 今後の展開:担癌動物を用い蛍光カメラ下における腫瘍可視化を確認、腫瘍切除への応用を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下に記する申請時の計画通り実験を完了した。 組換えウイルスの作成:大腸菌を用いてVSVゲノムDNA (pVSV-NX2、アクセッション・ナンバー:NC001560) に近赤外線蛍光蛋白KatushkaのcDNA (アクセッション・ナンバー:3PJ7A) をlinker insert (NheI, XhoI) を介して挿入し,全長のDNAプラスミドを作成する。これをヘルパープラスミドであるpIRES-L,pIRES-N,pIRES-Pと共にT7 RNA polymeraseを発現するHamster腎由来BHK細胞に導入して,組換えウイルスを得る。段階的に希釈したVSV-KatushkaをBHK細胞に感染させ、plaque assays法で力価を測定し以下の実験に使用する。 各種骨肉腫細胞へのVSV-Katushka感染:各種力価のVSV-Katushkaをヒト由来培養骨肉腫細胞(MG-63, Saos-2, HuO9, HOS など)、ラット由来培養骨肉腫細胞(MSK)に感染させてウイルス感染量をreal time RT-PCRにて定量評価する。超微弱蛍光イメージングシステム(WinLight32, Berthold)にてウイルス感染率、蛍光強度を測定する。健常人から採取したbone marrow stromal cellをネガティブコントロールとして比較する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り以下の実験を行う予定である。 骨肉腫ラットへのVSV-Katushka投与:6週齢ラットの近位脛骨内に高肺転移性ラット骨肉腫細胞MSK(1 X 107 cells)を移植し、骨肉腫動物モデルを作成する。腫瘍径が10mmに達したことを確認後、Isolated regional perfusion法(下図)を用いVSV-Katushkaを投与する。患側大腿動静脈に体外循環装置を接続、その中枢部で駆血を行い、患側下肢血流のみを心臓循環から隔離する。リザーバーより体外循環液の酸素化とVSV-Katushka投与を行い、60分間患側下肢のみに灌流させる。 近赤外線蛍光イメージングを用いた腫瘍広範切除:VSV-Katushka投与後、近赤外線蛍光観察用マクロイメージングシステムを用い、蛍光を発する領域を一塊に切除する。凍結切除標本を作成し、VSV-G 抗体を用いて免疫組織化学染色を行う。腫瘍細胞領域(H&E標本)、ウイルス感染細胞領域(VSV-G 抗体免染標本)、蛍光発色領域(蛍光顕微鏡、BZ-9000、キーエンス)を比較し、広範切除の正確性、再現性を検討する。経時的に局所再発、遠隔転移、生存率を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研申請時、近赤外線蛍光観察用マクロイメージングシステムLT-9902、リライオン社(1,690,000円)を計上しておりましたが、実際に実験を進めてゆくと蛍光発色が微弱なため冷却カメラ付きマクロイメージングシステム、ハママツ社(2,000,000円+周辺機器費)が必要なことがわかりました。そのため差額の588,433円を繰り越しとしました。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り、Isolated regional perfusion法を用い骨肉腫ラットへVSV-Katushkaを投与し、冷却カメラ付きマクロイメージングシステム、ハママツ社を用いて腫瘍広範切除を行う。凍結切除標本を作成し、VSV-G 抗体を用いて免疫組織化学染色を行う。腫瘍細胞領域(H&E標本)、ウイルス感染細胞領域(VSV-G 抗体免染標本)、蛍光発色領域(蛍光顕微鏡、BZ-9000、キーエンス)を比較し、広範切除の正確性、再現性を検討する。経時的に局所再発、遠隔転移、生存率を観察する。差額の588,433円は冷却カメラ付きマクロイメージングシステム、ハママツ社に使用予定である。
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