研究課題/領域番号 |
26462268
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安達 伸生 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 教授 (30294383)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, その他部局等, 学長 (70177244)
石川 正和 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 助教 (60372158)
中佐 智幸 広島大学, 病院(医), 病院助教 (60467769) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 骨穿孔術 / 間葉系幹細胞 / 軟骨損傷 / 軟骨修復 |
研究実績の概要 |
目的;関節軟骨修復術の1つである軟骨損傷部から軟骨下骨髄まで小さな孔を作製し、血行のない軟骨組織に骨髄からの骨髄間葉系幹細胞(MSC)の誘導をはかることにより創傷治癒機転を発現させる方法である。手技が簡便で侵襲も少ないといった利点がある一方、手術成績にばらつきがある。足関節の軟骨損傷部での治療成績は良好であるが、膝関節での治療成績は経年的に著しく低下する。この差は、構造的な差からきているのか、MSCに差があるのか明らかではなく、本研究では、これらを明らかなにすべく以下の実験を行った。 方法;日本白色家兎の大腿骨内側顆、大腿骨滑車、距骨(脛骨適合部)、距骨(脛骨非適合部)にそれぞれ直径3mm、深さ2mmの骨軟骨損傷を作製し、ドリリングを行った。4、8、12週で屠殺し、組織学的評価、CTでの画像評価を行った。また、大腿骨、距骨から採取した軟骨細胞の増殖能、炎症性サイトカインによるプロテオグリカンの消失を比較した。 結果;大腿骨内側顆は4週で欠損部の約70%の修復組織を認め、8,12週で硝子様軟骨を認めた。大腿骨滑車は4週ではわずかに修復組織を認めるのみで、8週では線維軟骨を認めたが、12週では大きな変化はなかった。距骨(適合部)は4週で欠損部全層での修復組織と軟骨下骨の良好な形成を認め、8、12週で硝子様軟骨を認め、軟骨・軟骨下骨ともに周囲と同等の厚さとなっていた。距骨(非適合部)では、4週では修復組織を認めたが、8,12週でも硝子様軟骨はほとんど認めなかった。軟骨細胞の増殖能・プロテオグリカン消失は大腿骨、距骨間で有意差はなかった。 考察・結論;軟骨修復は距骨(適合部)と大腿骨内側顆で良好であったが、距骨(適合部)でより早期に軟骨が修復されていた。これは、軟骨下骨の修復が早期に起こったためと考えられる。足関節の関節適合部では、その形態により軟骨修復が促進されたものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivoにおける実験は、予定通り、動物モデルを用いて膝・足関節に軟骨欠損部を作製しドリリングを行い、関節適合部での軟骨修復が促進されることが証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroの実験で使用する予定であった日本白色家兎のMSCの単離が困難であり、この骨髄液を穿刺するのではなく、骨髄を生理食塩水で洗い流してそこから得られた細胞を使用するなどの対策を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の目標は概ね達成できたため、次年度の消耗品に充てる計画のため
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次年度使用額の使用計画 |
試薬などの消耗品や学会発表に使用する計画である
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