研究課題/領域番号 |
26462270
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
横田 和典 広島大学, 病院(医), 教授 (20403529)
|
研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, その他部局等, 学長 (70177244)
亀井 直輔 広島大学, 病院(医), 講師 (70444685)
宮本 純平 広島大学, 病院(医), 病院助教 (90365312) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 筋・神経病学 / 運動器外傷学 / 再生医学 |
研究実績の概要 |
脂肪組織由来再生細胞の血管新生促進能を利用した、新たな末梢神経再生治療の確立を目指す。さらに、脂肪組織由来再生細胞を末梢神経とその支配筋に移植し、神経損傷による筋萎縮を防ぐ発展的な治療法の開発も目指す。 手術の際廃棄される脂肪組織より、celutionを用いてヒト脂肪組織由来再生細胞(Adipose tissue derived regenerative cell: ADRC)の単離を行った。ADRC移植の神経再生効果と機序の解明のため、免疫不全ラットの末梢神経損傷モデルを作製した。PBS群・hFB群・ADRC移植群を各群n=6で作製し、各群における神経再生を比較検討した。また、神経欠損部へのADRC移植と同時に、腓腹筋へ直接ADRCを注入したADRC-M群を作製し、腓腹筋萎縮の評価を行った。 現時点での結果は以下の通りである。IVISを用いたin vivo imagingにより移植細胞の局在やその経時的変化を評価するが、hFB群では移植後8週で信号を認めたが、ADRC群は移植後1~2週まで信号を認めた。移植後8週での歩行解析では、各群間で有意差は認めていない。移植後8週で神経を採取したが、全てのグループで肉眼的に神経欠損部での再生組織の架橋を認めた。機能的な神経再生を確認するために損傷神経中枢を電気刺激し筋組織における筋電位を測定したが、ADRC群・ADRC-M群で電位を認めた。組織学的評価では各群間で、軸索直径に有意差を認めなかったが、有髄繊維数・軸索充填密度ではADRC群で有意に大きい値を示した。免疫染色ではADRC群でS100陽性を認め、シュワン細胞の再生を確認した。しかしヒト特異的ミトコンドリア抗体は陰性で、ヒトADRCから神経細胞への分化は認めなかった。腓腹筋湿重量の測定では、PBS群・hFB群よりADRC群が、ADRC群よりADRC-M群で有意に重かった。マッソントリクローム染色を行った腓腹筋横断切片の腓腹筋筋線維径の測定では、PBS群・hFB群よりADRC群が、ADRC群よりADRC-M群で有意に大きな値を示した。
|