研究課題
p53機能の低下を来たすと考えられるMDM2遺伝子(以下、MDM2)の増幅が異型脂肪腫様腫瘍(以下、ALT)に存在する。臨床的、病理形態学的にALTと診断した患者6人からALT組織を採取、培養し、正常脂肪との分化能の比較をin vitro で行った。脂肪分化能は正常脂肪由来MSCで、骨分化能はALT由来MSCで高い傾向があった。骨分化能がALT由来MSCで高かったことについて、MDM2特異的阻害薬Nutlin-3を骨分化誘導培地に加え、同様に骨分化能を比較したところ、Nutlin-3の濃度が増すにつれ、骨分化能は低下し、最終的に骨分化能の差異が消失した。このことから、骨分化能の差異がMDM2の増幅により生じていたことが示唆された。以上の内容をClinical Orthopedic and Related Researchに投稿し、採用された。脂肪由来幹細胞(以下ADSCs)の臨床応用を目指して, in vivoでADSCsによる凍結処理骨再生能を検討した。ラットの大腿骨骨幹部を摘出し,摘出骨を液体窒素にて凍結処理し、再移植した。皮下脂肪から採取した脂肪組織からコラゲナーゼを用いてADSCsを抽出し、アスコルビン酸含有の培養にて幹細胞シートを作成した。これを再移植部に巻きつけることで骨再生促進の有無を確認した。処理後、2週,~12週で屠殺、移植骨を摘出し、CT撮影及び、組織学的評価(H-E染色)を行い、骨再生を評価した。画像評価ではシート群では,時間の経過とともに,処理骨とhost boneの境界部で連続性が見られた。組織評価ではシート群では,処理骨に向かうhost boneからの新生骨形成を認め,骨癒合の確認が得られた.総合的に骨再生の促進はみられる傾向があったが、モデルのためか、旺盛な再生まではみられない印象であり、移植方法の検討などが必要と考えられた。
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Clin Orthop Relat Res
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s11999-017-5259-z
臨床整形外科
巻: 51 ページ: 635-639