研究課題/領域番号 |
26462274
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
村田 博昭 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (90360031)
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研究分担者 |
小藤 和孝 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 准教授 (50649340)
芦原 英司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70275197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ビスホスホネート / 転移性骨腫瘍 / 骨肉腫 / 軟部肉腫 |
研究実績の概要 |
骨肉腫や線維肉腫などへのビスホスホネート(BP)の直接的な抗腫瘍効果について報告してきた。しかし、BPは投与後速やかに骨へ移行するために血中半減期は短く、また血中最大濃度も低いことから、本研究では長時間薬剤と接触させることでさらなる骨転移巣の腫瘍局所制御を目的としたBP含有徐放剤を用いた悪性細胞株に対する抗腫瘍効果を検討することであった。 これまでに、in vitroにおいて骨肉腫細胞株(LM8)に対してBP含有ハイドロキシアパタイト(HA)は長期間にわたりBPを放出し抗腫瘍効果を認めたことからdrug delivery systemとして期待できると考えられた。さらに、この結果をもとに日常診療でよく使われる骨セメントに含有して同様の実験を行った結果、HAよりも高率にBPの放出を認め、in vitroでの抗腫瘍効果が高いことが判明した。しかも、骨セメントは硬化時の熱を発生するためこれがBPに影響を与えないか危惧されたが問題はなかった。 本年はマウスを用いたin vivoの実験を行い腫瘍増殖変化(局所、肺転移)、組織学的検索を行った。LM8をマウス皮下に移植し腫瘍を作製後、骨セメント移植群とBP含有骨セメント移植群で比較検討した。BP含有骨セメントを移植5週後では局所腫瘍増殖抑制効果と組織学的に壊死を認めた。肺転移についてはBP含有骨セメントを移植後3週でコントロール群に比べ有意な低下を示した。 さらに、BP含有骨セメントを移植した際に正常骨への影響についても調べた。ウサギの脛骨に骨セメントとBP含有骨セメントを移植して両者を比較したところ周囲骨組織への壊死や骨形成への影響の差は認めなかった。また、移植による血液生化学的検査での異常も認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビスホスホネート(BP)含有徐放剤が骨肉腫細胞株に対する抗腫瘍効果があることを検証でき、基剤としてはハイドロキシアパタイトよりも骨セメントの方が有効性が高いことがわかった。この結果を用いin vivoでBP含有骨セメントを移植し局所、肺転移巣での抗腫瘍効果を確認したところ両者で抗腫瘍効果が生じることを確認できた。これらの結果は学会発表を行った。また、英語論文として投稿中であるがreviewerからの質問に対する回答を行っている段階である。ただ、PTH、LIPUSを用いての実験を進行中であるがまだ十分な結果が得られていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ビスホスホネート(BP)含有徐放剤を用いた抗腫瘍効果については英語論文として投稿中であるがまとめる予定である。 骨芽細胞、悪性腫瘍細胞に対するparathyroid Hormone(PTH)の細胞増殖への検討は、PTHとlow-intensity pulsed ultrasound (LIPUS) 併用療法による悪性腫瘍細胞存在下での骨芽細胞増殖、分化への影響ならびにBP併用による増殖に与える影響を継続実験予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文が審査中であり、今後論文作成費用が発生し、論文投稿後の追加実験の依頼が生じる可能性がある。
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次年度使用額の使用計画 |
英文投稿費用、追加実験に必要な際残額を使用予定である。 本年度までに達成できなかったPTH、LIPUSを用いた転移性骨腫瘍局所制御に関する研究に使用する予定である。
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