研究課題/領域番号 |
26462276
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
面川 庄平 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70597103)
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研究分担者 |
赤羽 学 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40326327)
中野 健一 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20597108)
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30316070)
清水 隆昌 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70464667)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞シート / 骨形成能 / 骨欠損 |
研究実績の概要 |
ラット大腿骨骨延長モデルへの骨形成細胞シート(Osteogenic Matrix Cell Sheet; OMCS)の繰り返し注入移植の可能性を証明するために、平成26年度は凍結保存OMCSの骨形成能の評価を行った。 7週齢Fischer344ラットの大腿骨から採取した骨髄細胞からOMCSを作製した。OMCSの凍結は凍結処理容器を用いて-85℃に緩速凍結処理し、解凍は37℃恒温槽で急速解凍した。新鮮OMCS(新鮮移植群)および凍結保存OMCS(凍結移植群)をラット背部皮下に移植し、移植4週後にそれぞれ摘出したサンプルのオステオカルシンおよびアルカリフォスファターゼのmRNA発現量を評価した(n=4)。さらに、7週齢Fischer344ラットの大腿骨を中央で楔状に骨切りし、1.2mmキルシュナー鋼線で髄内固定することにより大腿骨中央に骨欠損を有するモデルを作製した。OMCSが完成する4週以降に、解凍したOMCSを大腿骨の骨欠損部に16G注射針を使用して注入した。OMCSを注入しないコントロール群およびOMCSを注入した凍結シート群における注入後後3週および6週における力学試験を行い、大腿骨の力学的強度を評価した(n=6)。 新鮮移植群および凍結移植群におけるアルカリフォスファターゼのmRNA発現量は凍結移植群で有意に低く(p=0.02)、オステオカルシンのmRNA発現量は両群間に有意差を認めなかった。OMCS 注入後3週時点では両群間に有意差を認めなかったが、6週時点ではコントロール群と比較して凍結シート群での力学的強度が有意に高かった。 新鮮OMCSと同様に、凍結保存OMCSにおいても骨形成能を付与できることが確認された。さらに骨欠損モデルで凍結保存OMCSの骨形成能と力学的強度の増大が確認されたことから、凍結保存OMCSの注入移植の有用性が証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット大腿骨骨延長モデルへの繰り返しの骨形成細胞シート注入を行う上で、一度の培養操作で細胞シートを複数枚作製後保存し、必要時に解凍し注入移植を行うことが臨床応用において有用であると考えた。平成26年度は当初の計画を変更し、凍結保存骨形成細胞シートの骨形成能評価および凍結保存骨形成細胞シートの注入移植による生体内における骨癒合を力学的に評価した。本研究では一度の培養操作で骨形成細胞シートを複数枚作製保存し、必要時に解凍し注入移植が可能であることが証明された。ラット大腿骨骨延長モデルへの骨形成細胞シートの繰り返しの注入移植が可能であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究では、ラット大腿骨骨延長モデルの骨延長量の決定および創外固定(メイラ社ミニ創外固定)を装着方法の確立が行われていない。また、凍結保存骨形成細胞シートの骨延長部への注入回数および注入量の決定に至っていない。そのため次年度では、ラット大腿骨骨延長モデルへの創外固定装着方法を確立し骨延長量を決定する。さらにラットの凍結保存骨形成細胞シートの注入回数および注入量を決定することと並行し、ヌードラット大腿骨骨延長モデルへのヒト骨形成細胞シートの注入移植後の骨形成能評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった創外固定の部品を購入しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の創外固定備品の購入に充てる。
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