研究課題
ラット骨延長用創外固定器(RatDis)を購入し大腿骨への装着を行ったが、創外固定の脱落や破損により異なる固定材料の選択が余儀なくされた。そこで固定材料を鋼線固定で代用することとし、平成28年度は異なる条件で凍結した骨形成細胞シートをラット大腿骨骨欠損モデルに移植し骨形成能を評価した。方法:7週齢F344ラット大腿骨骨髄細胞を2週間の初期培養後、骨分化誘導培地で2次培養を行い骨形成細胞シートを採取した。凍結処理容器を用いて急速凍結法および緩速凍結法で-85℃に凍結処理し、24時間後に液体窒素で保存した。新鮮シート(Fresh群)、急速凍結シート(Rapid群)および緩速凍結シート(Slow群)を37℃恒温槽で急速解凍し、細胞活性を評価した。同系ラットの大腿骨骨欠損モデルを作製し、骨欠損部にRapid群およびSlow群の細胞シートを移植した群、Control(非移植)群を作製した。移植後3週および6週で摘出した大腿骨をX線および組織学的に評価し、移植後6週の大腿骨について力学的強度を評価し比較した(各群n=5)。結果:細胞シートの細胞活性はFresh群と比較してRapid群で有意に低下していた。細胞シートは移植後4週においてX線学的および組織学的にすべての群で骨形成を認め、オステオカルシンのmRNAの発現量は各群間で有意差を認めなかった。骨欠損部への細胞シート移植の力学試験では非移植群と比較してSlow群で有意に力学的強度が高かった。まとめ:凍結保存シートは新鮮シートと同様に骨誘導能を有していることが確認された。ラット大腿骨骨欠損部への凍結細胞シート移植により骨形成能を付与することが可能であると考えられた。さらに、緩速凍結細胞シートの骨形成能がより強いことが判明したことから、骨欠損の再建に対する緩速凍結細胞シート移植の有用性が示された。
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