研究実績の概要 |
テロメスキャンとはテロメラーゼ (human telomerase reverse transcriptase: hTERT) を発現している癌細胞でのみ増殖するウイルスである.このウイルスマーカーを用いて,軟部肉腫患者の静脈血中の末梢血循環癌細胞 (circulating tumor cell: CTC) を測定し,臨床因子との比較を行った.13患者,19検体を対象とした.性別は男性 7例, 女性 6例で平均年令は73歳(44 ~86歳)であった.病理診断は粘液線維肉腫4例, 多形肉腫2例, 脂肪肉腫2例, 平滑筋肉腫2例, 横紋筋肉腫1例, 骨外性骨肉腫1例, 線維肉腫1例であった.組織グレードはGrade 2が4例, Grade 3が9例であった.腫瘍学的予後はCDF (再発・転移なし) 9例, AWD (肺転移例) 4例であった.術前CTCは11.6±23.7個で術後CTCは3.00±4.95個であった.術前CTCは術後CTCより数が少ない傾向にあったが有意差はなかった (p = 0.235).CTC数と臨床因子との比較では,性別 (p = 0.294),年齢 (p = 0.806),発生部位 (p = 0.386),組織グレード (p = 0.515),腫瘍径 (p = 0.359),肺転移の有無 (p = 0.369)いずれも有意差を認めなかった.術前CTCと比べ術後CTCが増加した症例すべてに肺転移を認めた (p = 0.0253).術前CTCおよび術後CTCの測定が肉腫患者の転移予測・予後予測に有用となる可能性がある.
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