研究課題/領域番号 |
26462281
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
遠山 晴一 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 教授 (60301884)
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研究分担者 |
山中 正紀 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 教授 (40166757)
但野 茂 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50175444)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 下肢キネマティクス / 装着型センサー / 膝関節 / ドリフト |
研究実績の概要 |
ACL再建術術後症例の歩行時の下肢三次元動作を臨床施設にて解析するため、装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムの開発を行ってきた。その結果、角速度データを積分加算し下肢各セグメントの相対的角度を算出する本評価では角速度データの種々の誤差が時間経過とともに増大する「drift」を生じるという問題点が明らかとなった。 以上の装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムの「drift」を解決するため1) 無限インパルス応答4次Butterworthフィルターによる角速度センサノイズの軽減、2)歩行時の角速度センサの信号から静止時の角速度センサのモード値のオフセット、3)double derivative and integration methodによる線形的driftの除去、4) 2つの姿勢での各加速度センサによる重力方向による各センサの初期相対角度設定の誤差軽減を行った。 改良した本評価システムを用いて5例の健常者に対し、歩行時の下肢三次元動作を行った。その結果、股関節、膝関節、足関節の屈曲-伸展方向の「drift」は平均で2.1°, 33.3°, 15.6°減少した。 以上より、改良した本評価システムを用いることにより、ACL損傷症例の歩行時における三次元下肢キネマティクスを医療機関診療レベルで評価が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ACL再建術術後症例の歩行時の下肢三次元動作を臨床施設にて解析するため、装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムの測定精度解析を行った結果、角速度データを積分加算し下肢各セグメントの相対的角度を算出する本評価では角速度データの種々の誤差が時間経過とともに増大する「drift」を生じるという問題点が明らかとなった。このため、本「drift」の軽減に対する対策を行わなければならなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度において行われた装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムの「drift」の軽減の改良により、ACL損傷症例の歩行時における三次元下肢キネマティクスを医療機関診療レベルで評価が可能となった。今後、ACL損傷症例の歩行時における三次元下肢キネマティクスの解析に直ちに着手する予定である。また、本下肢キネマティクス評価システムの「drift」の軽減のための手法は角速度センサを積分加算する他の測定系においても応用可能であり、高い学術性を有することより、本改善手法を国際的にも広く発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムの改良を行ったため、ACL損傷症例の歩行時における三次元下肢キネマティクス計測を行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は改良した装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムを用いてACL損傷症例の歩行時における三次元下肢キネマティクス計測を実施するため、計測の際の消耗品代が170,000円ほど増加する予定である。
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