研究課題/領域番号 |
26462281
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
遠山 晴一 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60301884)
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研究分担者 |
山中 正紀 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40166757)
但野 茂 北海道大学, 工学研究院, 名誉教授 (50175444)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 下肢キネマティクス / 反重力トレッドミル / 装着型センサー / 膝関節 |
研究実績の概要 |
術後早期のACL再建術術後症例に歩行時の下肢三次元動作を臨床施設にて解析するため、装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムを用いて、反重力トレッドミル歩行時における三次元下肢キネマティクスを評価した。健常者15例に対し、反重力トレッドミル(Alter-G社、Fremont, California, USA)を使用し100%荷重、75%荷重、50%荷重の条件で歩行速度時速2.5kmにおける三次元下肢キネマティクスを計測し、反重力トレッドミルによる荷重の軽減が三次元下肢キネマティクスに与える効果を検討した。 その結果、反重力トレッドミルによる荷重の軽減により、歩幅は有意に減少し、ケイデンス(歩行率)は有意に増加した。一方、股関節遊脚終期最大屈曲角度は100%荷重21.7±4.5°、75%荷重17.5±5.6°、50%荷重15.4±6.5°、膝関節遊脚期最大屈曲角度は100%荷重64.1±10.3°、75%荷重58.3±11.1°、50%荷重49.1±15.3°、足関節立脚終期最大背屈は100%荷重7.1±4.9°、75%荷重4.4±3.7°、50%荷重3.1±5.4°であり、これらパラメータは反重力トレッドミルによる荷重の軽減により有意に減少した。 以上より、反重力トレッドミルによる荷重の軽減は、股関節、膝関節、足関節の歩行中の可動域変化を減少させ、その結果、歩幅を減少させることが明らかとなった。術後早期のACL再建術術後症例においては過大な膝関節の屈曲は移植腱の伸張や骨孔の拡大をもたらす可能性がある。したがって、装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムと反重力トレッドミルを用いることにより、術後早期のACL再建術術後症例に歩行時の下肢三次元動作を安全に評価することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本学大学病院での術前評価を受けるACL再建術症例が少なく、ACL損傷症例の歩行時における三次元下肢キネマティクス計測の施行ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はACL再建術予定症例の入院および手術日程を事前に入手し、ACL再建術予定症例の術前および術後の歩行時の三次元下肢キネマティクス計測を装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムを用いて実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
術前評価を受ける前十字靱帯再建術症例が少なく、前十字靱帯損傷症例に対する歩行時における三次元下肢キネマティクス計測の施行をしなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ACL再建術予定症例の術前および術後の歩行時の三次元下肢キネマティクス計測を装着型センサーによる三次元下肢キネマティクス評価システムを用いて実施するため、消耗品(光学マーカー、タイツ、シューズなど)のため、物品費として130,978円の追加使用予定である。
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