研究実績の概要 |
本研究では、転倒に伴う骨折を予防するため、転倒骨折リスク評価法の基盤を確立することを目的としている。転倒で骨折をきたす方の多くが、骨粗鬆症などに起因する骨強度低下をきたしている。骨強度をin vivoで高精度に評価する方法としてCT有限要素法(Imai et al. Spine 2006)がある。どのような転倒で骨折が生じやすいかを評価するために、様々な転倒条件での骨折リスクを、CT有限要素法を使用して定量的に調べている。また、骨折部位、骨折形態がどのようになるか、CT有限要素法によって評価し、力学試験結果と比較してCT有限要素法の精度を検証し、実際の臨床場面での骨折を予測評価できるか調べている。この研究結果を、 Imai K: Analysis of vertebral bone strength, fracture pattern, and fracture location: a validation study using a computed tomography-based nonlinear finite element analysis. Aging Dis 6:180-187,2015. で報告した。 次に転倒の危険因子の探索を行うために、脳疾患の既往がない方を対象にバランス機能評価・歩行解析・運動機能評価のそれぞれの因子と転倒との相関を調べ、転倒因子の探索を行う予定である。バランス機能評価は、静的バランス評価として開眼片脚起立時間、動的バランス評価としてFunctional Reach Test、機能的バランス評価としてTimed Up and Go Testを行う。歩行解析は、通常歩行と最大歩行速度で、三軸加速度センサにより、歩行速度、歩行周期、歩幅、重心動揺を解析する。運動機能評価として、筋力:握力及び下肢筋力、柔軟性:長座位体前屈、移動能力:2ステップテスト(最大二歩幅÷身長)を評価する。
|