研究課題/領域番号 |
26462285
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60583119)
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研究分担者 |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
篠田 裕介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80456110)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 整形外科学 / 関節症 |
研究実績の概要 |
Tace は膜貫通型酵素の一つであり、その発現とともに、標的分子およびシグナル経路をin vitro, in vivo で詳細に解析し、変形性関節症発症においてTace が果たす役割を明らかにすることを目指した。まず内側側副靭帯、内側半月板の切除によって変形性関節症を惹起させるモデルマウスを作成し、0, 2, 4, 6, 8週後の時系列サンプルを用意した。それぞれの組織切片を用いてTaceの発現を解析したところ、Taceは比較的早期から発現が増強するものの、変形性関節症の進展によっては大きく発現が変化しないことが判明した。次にインスリン存在下で軟骨内骨化に類似した分化を再現する軟骨系細胞株ATDC5を用いて、ドキシサイクリン誘導性にTaceを発現するカセットをレンチウイルスベクターに搭載し、ピューロマイシンにて安定導入した。インスリンで分化誘導を惹起しつつTaceを各段階で発現させたところ、Taceは後期分化段階で強力に2型コラーゲン分解酵素Mmp13やアグリカン分解酵素Adamts5などの軟骨変性分子を誘導した。In vivoで詳細な解析を行うべく、Tace-floxマウスをタモキシフェン誘導性の軟骨特異的Creマウス(Col2a1-Cre-ERT2)との交配を進めた。また変形性関節症モデルを用いてTace阻害剤の検討を行うための前段階として、細胞培養レベルでその阻害能の検証を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞レベルでは重要な知見を多く得ることができ、マウスベースでの解析に進むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
Taceの標的として考えられるNotch, TNF, EGFRなどをそれぞれブロックし、Taceの過剰発現系でみられる軟骨変性分子の発現上昇がどの程度抑えられるかを検証して、軟骨変性におけるシグナル経路を検証する。 In vivoでは、薬剤誘導性の軟骨特異的CreマウスとTace-floxマウスを交配させ、順次変形性関節症モデルを作成して解析を進める。また自然経過での軟骨変性も平行して検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞レベルでは重要な知見を多く得ることができ、予定より少ない経費でマウスベースでの解析に進むことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
軟骨変性におけるシグナル経路を検証するために必要な実験器具、試薬など。 変形性関節症モデルを作成するためのマウス、試薬など。
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