研究課題
Tace は膜貫通型酵素の一つであり、複数のシグナル経路の活性化に関わっている。本研究では、その標的分子およびシグナル経路をin vitro, in vivo で詳細に解析し、変形性関節症発症においてTace が果たす役割を明らかにするとともに、さらにそれを阻害しうるような低分子化合物や抗体を探索する事によって変形性関節症の新規治療薬や予防薬の開発につなげる事を目指している。まず野生型マウスを用いて、内側側副靭帯、内側半月板の切除によって変形性関節症を惹起させ、時系列にTaceの発現を調べたところ、一貫してある程度の発現がみられることが分かった。軟骨細胞株ATDC5を用いて、ドキシサイクリン誘導性のTace強制発現系を作成し、さまざまな分化段階でTaceを過剰発現させたところ、いずれも軟骨変性関連分子の発現増加がみられた。次にTace-floxマウスを薬剤誘導性の軟骨特異的Creマウスと交配させ、タモキシフェンを注射することで軟骨細胞特異的にTaceをノックアウトできるマウスを作成し、そのマウスを用いて変形性関節症モデルを作成したところ、そのTaceのコンディショナルノックアウトマウスでは有意に変形性関節症の進行が抑制された。各種マーカータンパクの免疫組織染色では、細胞の過剰発現系とは反対に、軟骨変性関連分子の発現は抑制されていた。種々の検討で、下流としてはNotchシグナルの変動は目立たなかったことから、現在は他のシグナルの可能性を検討している。
2: おおむね順調に進展している
変形性関節症モデルの結果も得られ、当初の計画通りの進行といえる。
最終年度はTace阻害剤の関節注射によって変形性関節症の進行を抑制できるか、検証する。また下流としてEGFRをブロックしたときにも同様の結果が得られるか、検証する。
おおむね順調に研究が進み、当初計画していた予算内で良い結果を得ることができたため。
Tace阻害剤の関節注射やEGFRブロックにかかる試薬、諸経費。
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