研究課題
本研究の目標は、移植医療に耐えうる再生軟骨を作成することにある。採取した軟骨細胞は一旦、1.0X106cells/dishで単層培養により2~3週間培養増殖させた後に合成半透膜上に高濃度で細胞を播種して高濃度培養することでscaffold-free再生軟骨constructを作成した。各週齢5匹のウサギ膝関節軟骨部分欠損モデルを用いて、膝関節軟骨に直径4mmの軟骨部分欠損を作成し、scaffold-free再生軟骨constructを移植した。移植後2週、4週、および8週で軟骨修復能についての評価を行った。移植の問題点としては、ウサギが運動する際に移植軟骨constructが脱落してしまう可能性が考えられる。軟骨constructはプレスフィットによる固定を行ったが、やはり脱落の問題が発生した。詳細に組織を観察すると軟骨部分欠損の深さに依存していており、軟骨下骨を穿破しない程度でできるだけ深い軟骨欠損では軟骨constructの脱落はなかったが、全く軟骨下骨に到達しない軟骨欠損モデルでは脱落の可能性が高かった。実験用ウサギ膝関節軟骨部分欠損の修復状態について経時的に検討した。代表的な軟骨器質であるアグリカンとII型コラーゲンのmRNAの経時発現量をRT-PCR法で比較すると、scaffold-free再生軟骨construct完時が最も発現量が多く、経時に減少していた。タンパクの発現はアグリカン、II型コラーゲンに対する免疫組織化学染色法とトルイジン・ブルーによるメタクロマジーの発現量で調べた。移植部軟骨との境界領域での発現が時間の経過とともに減少する傾向にあった。結論からすると、本方法でscaffold-free再生軟骨constructの作成は可能であるが、軟骨同士の結合には堪え得ないと考えられ、やはり骨髄からの幹細胞や血流の供給を要すると考えられた。
すべて 2016
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Osteoarthritis Cartilage
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