研究実績の概要 |
まず、週齢8週野生型マウス(C57BL/6J)の膝関節に内側半月板不安定化にてOAモデルを作成。術後SRT1720投与群(SRT群; SRT1720 5mg/kg, 0.2ml, i.p.)と10%DMSO群(コントロール群;0.2ml, i.p.)の2群に分けて週2回腹腔内投与を行い、 術後8、12、 16週で膝関節を採取した。各時点でのOAの進行をOsteoarthritis Research Society International (OARSI)スコアを用いて組織学的に評価した。 また、 免疫染色にてSIRT1、 MMP-13、 ADAMTS-5、 cleaved caspase 3、PARP p85、 acetylated NF-κB p65の発現を調べた。 OARSIスコアは、術後8週では両群間に有意差を認めなかったが、 術後12、16週でコントロール群のスコアが有意に高値でOAの進行をみとめた。一方、 SIRT1の発現は術後8週でSRT群がコントロール群に比して有意に高く、 術後12、 16週では徐々に低下し、 コントロール群との有意差は認めなかった。術後8週の免疫染色において, MMP-13、ADAMTS-5、 cleaved caspase 3、PARP p85、acetylated NF-κB p65の発現はいずれもコントロール群で有意に高値であった。また、滑膜組織を採取して、滑膜炎の評価を組織学的に行ったところSRT投与群では有意に滑膜炎スコアが低値であった。本実験結果からは、SRT1720投与により、OAの進行を抑制できる傾向をみとめ、本薬剤が今後OAの治療に有用な可能性が示唆された。また、現在SRT1を過剰発現するSIRT1-KIマウスにOAモデルを作成し、さらにSIRT1を介したOA進行抑制効果について調べている。
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