研究実績の概要 |
ヒト変形性関節症(osteoarthritis:OA)軟骨を用いた軟骨前駆細胞(Chondroprogenitor cell:CPC)の単離とその形質の探索およびOA軟骨(細胞)に対するCPCの影響を探索するため、当大学医の倫理委員会の承認の下、変形性膝関節症あるいは変形性股関節症に対して人工膝関節全置換術および人工関節全置換術を受けた患者から、切除した関節から軟骨および骨髄を採取した。採取した軟骨と骨髄からFluorescently Activated Cell Sorting (FACS)解析を行って、CPCの候補と考えられる細胞を分離した。このCPC候補細胞はVistatinm(-),CD45(-), CD90(-), CD271(-), CD105(+), CD29(-) の表面抗原を持つことが明らかになった。これを増殖させ、増殖能およびその形質をさらにFACS、免疫組織学的検索、PCR解析などによって探索中である。 また、日本白色家兎を用いてケタミン筋肉注射麻酔下に膝関節を展開して内側半月板を切除しOAモデルを作製した。これは術後4週間で機械的なOAを作製することができる。このモデルを用いて、上記CPC候補細胞を術後4週の上記モデルに麻酔下に関節内投与した。また、同様に骨髄から分化誘導した骨髄幹細胞要細胞を対照として、これも同膝関節内に投与した。これによって、in vivoでのCPCのOAに対する軟骨保護作用やOAの進展について、組織学的、生体力学的に観察中である。 さらに、上記細胞をヒトOA軟骨片表面に播種して、CPCの軟骨片上での挙動についてSafranin O、Toluidine blue染色あるいはOil Red染色、Alizarin Redあるいはvon Kossa 染色し、軟骨片上でのCPCの軟骨分化能、脂肪分化能、骨化を探索中である。また、I,II,X型コラーゲン抗体による免疫組織染色を行い、CPCの分化を探索中である。
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