研究課題
研究開始当初に検診で発見した、無症候例の肘離断性骨軟骨炎33例の経過を追跡したところ、投球中止の指示に従った群(中止群)、ポジションや投球側を変更した群(変更群)と投球を継続した群(継続群)の3群に分けられた。各群の修復率は中止群94.4%、変更群42.8%、継続群16.7%であり、投球外力が病巣修復に関連していた。さらに非修復例では80%近くで手術を要しており、無症候例でも投球中止が望ましいことがわかった。以上より、本疾患の予後には投球による持続外力が最も関与していることがわかったが、一方で投球中止しても修復しない例があり、外力以外の因子も考慮すべきである。我々は小頭局所の血行動態に注目しており、小頭後方から流入する栄養血管血流量が病態に関与していることを提唱している。そこで超音波ドプラで小頭への栄養血管血流量を、前年に引き続き評価した。小頭骨端核に流入する血液量は修復群で非修復群に比べて多く、血流は病巣修復の予後を決定する因子のひとつである可能性が示唆された。また、未修復の離断骨軟骨片に関しては、局所の血流改善を図ることで修復が期待できるものと考えられ、骨釘移植術の適応がると考えている。そこで未固定遺体上肢標本を用いて、病巣局所の血流改善を目的とした血管柄付き骨釘移植術のシミュレーションを行った。その結果、中側副動脈と橈側側副動脈が骨釘移植術に適した動脈であることがわかった。
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