研究実績の概要 |
【目的】侵害受容体は自由神経終末に存在し、侵害刺激により疼痛を誘発する。侵害受容体の1つであるTRPV1は破骨細胞と骨芽細胞の分化制御による骨代謝調節作用を有することが報告されている(Idris et al,Bone,2010)。本研究では侵害受容体のTRPV1, ASICs, P2X受容体の骨組織における発現変化と骨代謝調節作用を卵巣摘除(OVX)マウスを用いて検討した。 【方法】8週齢C57/BL6雌マウスにOVXと卵巣摘除を行わない偽手術(sham)を行った。術後6 週でOVXとshamマウスの大腿骨からRNAを採取した。また、大腿骨をflush outし、48時間後に骨髄細胞からもRNAを採取した。侵害受容体のTRPV1, ASIC1,2,3, P2X2,3の発現をそれぞれ検討した。また、OVXマウスにTRPV1, ASIC3, P2X2/3阻害薬を投与し、骨代謝マーカーのRunx2, Osterix, Osteocalcin, RANKLの発現変化を検討した。 【結果】骨組織と培養骨髄細胞にTRPV1, ASIC 2,3, P2X2,3受容器体の発現を認めた。骨組織ではASIC1とP2X2の発現が、培養骨髄細胞 ではASIC1と2の発現がOVX群で有意に増加していた。また、TRPV1, ASIC3, P2X2/3阻害薬は、OVX群で増加したRunx2, Osterix, osteocalcin, RANKLの発現を有意に抑制した。
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