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2016 年度 実績報告書

骨粗鬆症における骨組織内の骨代謝/疼痛関連分子の発現変化と疼痛発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26462308
研究機関札幌医科大学

研究代表者

射場 浩介  札幌医科大学, 医学部, 准教授 (60363686)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード疼痛 / 骨粗鬆症 / 侵害受容体 / 炎症性サイトカイン / ビスホスホネート / 拮抗薬
研究実績の概要

これまでに卵巣摘除(OVX)による閉経後骨粗鬆症モデルマウスを用いた研究で、骨吸収亢進状態がマウスの疼痛行動を誘発すること、骨吸収抑制剤の投与により骨吸収亢進状態と疼痛行動が改善することを明らかにした。しかし、その機序は未だに不明な点が多い。今回は骨粗鬆症に伴う疼痛発生機序について骨吸収時に起こる骨組織内の変化に注目して、その分子メカニズムを解明することを目的とする。さらに、OVXによる骨粗鬆症モデル以外に、尾部吊り下げによる非荷重下肢骨粗鬆症モデルマウスを用いて同様の検討を行った。
研究成果として、①OVXマウスではの疼痛行動は侵害受容体TRPV1, ASIC2, P2Xの拮抗薬で有意に改善され、その改善度は非ステロイド性抗炎症薬と比較して有意に高かった。②OVXマウスの骨組織内酸性環境抑制を抑制することで、疼痛行動は有意に改善した。③OVXマウスの骨組織では炎症性サイトカインのIL-1, -6, TNF-αの発現が亢進しており、サイトカイン受容体拮抗薬が疼痛行動を有意に改善した。 ④OVXマウスの骨髄細胞や骨組織はTRPV1, ASIC2, P2Xを発現しており、これらに対する拮抗薬は骨代謝マーカーの発現を有意に抑制した。 ⑤尾部吊り下げによる後肢非荷重モデルマウスの実験系を確立して、尾部吊り下げマウスが後肢に限局した骨粗鬆化を呈すること確認した。⑥尾部吊り下げ後肢骨粗鬆化マウスでは、局所性骨粗鬆化に伴い疼痛行動の誘発を認めた。これらの変化は再荷重により改善した。⑦骨吸収抑制薬のビスホスホネートを尾部吊り下げ中に投与することで、局所性骨粗鬆化と疼痛行動は有意に予防された。
以上の結果は骨粗鬆症に伴う疼痛発生機序を解明する上で重要であるとともに、骨粗鬆症患者の疼痛を改善する新しい治療法の開発に有用な成果であると考える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Acid sensing ion channel or P2X2/3is involved in the pain-like behavior under a high bone turnover state in ovariectomized mice2016

    • 著者名/発表者名
      1.Kanaya K, Iba K, Abe Y, Dohke T, Okazaki S, Matsumura T, Yamashita T
    • 雑誌名

      J Orthop Res

      巻: 34 ページ: 566-573

    • DOI

      10.1002/jor.23047

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] TRPV1, ASICs and P2X2/3 expressed in bone cells simultaneously regulate bone metabolic markers in ovariectomized mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Kanaya K, Iba K, Dohke T, Okazaki S, Yamashita T
    • 雑誌名

      J Musculoskelet Neuronal Interact

      巻: 16 ページ: 141-151

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Regional osteoporosis due to osteoclast activation as a trigger for the pain-like behaviors in tail-suspended mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Dohke T, Iba K, Hanaka M, Kanaya K, Abe Y, Okazaki S, Yamashita T
    • 雑誌名

      J Orthop Res

      巻: - ページ: -

    • DOI

      doi: 10.1002/jor.23373

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 局所性骨粗鬆化を呈する骨組織におけるTRPV1,ASICs,P2Xの骨代謝調節作用2016

    • 著者名/発表者名
      花香恵 射場浩介 道家孝幸 金谷久美子 阿部恭久 山下敏彦
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-14
  • [学会発表] 局所性骨粗鬆化を呈する尾部懸垂モデルマウスの疼痛行動に対するTRPV1,ASICs,P2X拮抗薬の改善作用2016

    • 著者名/発表者名
      花香恵 射場浩介 道家孝幸 金谷久美子 阿部恭久 山下敏彦
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-14
  • [図書] Osteoporosis in Orthopedics2016

    • 著者名/発表者名
      Iba K, Yamashita T
    • 総ページ数
      257
    • 出版者
      Springer Japan

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公開日: 2018-01-16  

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