研究課題
関節リウマチ(RA)の病態にグリオスタチンが密接に関与していることを我々は初めて見いだし報告している。これまでの基礎研究成果に基づき、(1) RAにおける関節破壊へのグリオスタチンの関与を解明すること、(2) グリオスタチン遺伝子の発現から関節炎惹起活性の発現に至る諸相を阻害することにより、RAの病勢を緩和する方法を確立することを最終目標としている。本研究では、関節リウマチ滑膜炎寛解のためグリオスタチンが治療のターゲットとなりえることを明らかにすることを目標とした。RA患者の人工膝関節置換術の際に、患者の承諾を得て採取した滑膜を培養し、形態学的に均一な線維芽細胞様滑膜培養細胞(FLSs)を用いた。FLSsにおいてグリオスタチン産生は、TNF-αまたグリオスタチンそのもので誘導された。すなわちグリオスタチンにはautocrine作用があり、これによりRA病態の慢性化、炎症の持続性が生じると考えられる。本研究ではさらにグリオスタチンによるmatrix metalloproteinases (MMPs)の誘導が確認された。MMP-1、MMP-3、 MMP-9の誘導が顕著であった(RT-PCR法)。MMP-1、MMP-3についてはELISA法にてタンパク質レベルでの誘導も確認できた。またゼラチンザイモグラフィによりMMP-9の酵素活性も増強されることが明らかとなった。MMP-2産生についてはグリオスタチン刺激の影響はなく恒常的な発現が確認された。グリオスタチンにはautocrine作用およびMMP-1、MMP-3、MMP-9、MMP-13はミスラマイシンよって抑制されることを明らかにした。以上のことよりグリオスタチンautocrine作用の連鎖を断ち切り、関節破壊に関連の強いMMPs発現を抑制する薬剤を検索することで、生物学的製剤不応症例のRA病態抑制に迫る可能性が示唆された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
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