研究実績の概要 |
われわれは陰性ー陽性多剤配合剤を関節内に注射し,MR画像を撮像する関節軟骨直接二重造影法を確立した.これにより,従来の撮像法と比較して,より鮮明に関節軟骨を描出することが可能になった. 続いて変性した関節軟骨を評価するためにこの撮像法を使用した.雄性日本白色家兎の右膝関節の前十字靱帯と内側半月板前節を切除し,変形性膝関節症モデル (OAモデル)とした.動物用横置き型の7.04T MRI装置を用いて,controlモデルと処置2週後,4週後のOAモデル (2w OAモデル, 4w OAモデル)の右膝関節内側顆と外側顆のMR画像を撮像した.大腿骨内側顆と外側顆の荷重部を関心領域とし,T2値を測定した.controlモデルと2w OAモデル, 4w OAモデルのT2値をone-way ANOVAとDunnett検定で解析した.また,処置2週後,4週後のOAモデルの右膝関節を摘出し,サフラニンO染色による関節症性変化の程度を評価した. T2値に関して,大腿骨外側顆では注射前に4w OAモデルで有意に高値であったが,注射後には2w OAモデルで有意に高値であった.また,大腿骨内側顆では注射前に群間で有意差がなかったが,注射後には4w OAモデルで有意に高値であった.また組織学的評価では,2w OAモデルではサフラニンOの染色性が軽度低下し,4w OAモデルではサフラニンOの染色性が中等度低下し,表面が不整で,関節症性変化がより進行していた. 本撮像法を用いることで,関節軟骨の変性を早期に低侵襲で評価できる可能性があると考えられた.
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