研究課題/領域番号 |
26462312
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50347449)
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研究分担者 |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20178031)
中川 周士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30643382)
土田 真嗣 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10719834)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 軟骨 / 低酸素 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,低酸素環境における関節軟骨および軟骨細胞のストレス応答機構をanabolicな作用を軸に解析し,OAに対する新たな保存療法の道を開くことである.平成28年度は,ラット関節軟骨を採取、単離し,1%および20%の酸素環境下で培養を行った.さらに,OAに対する関節内注射薬として広く使用されている高分子ヒアルロン酸を添加し酸素濃度による関節軟骨のanabolic効果の変化を解析した.低酸素環境において関節軟骨のanabolic効果は促進された.また、外因性ヒアルロン酸のレセプターであるCD44は低酸素環境下で定常酸素環境下よりm-RNAレベルでも、タンパクレベルでも優位に上昇していた。次にHIF-1αを抑制することで低酸素環境下でのCD44の発現上昇は抑制された。このことから低酸素環境下で発現が上昇するHIF-1αにより、細胞膜タンパクであり、ヒアルロン酸レセプターであるCD44の発現が上昇する。その後産生されたCD44にヒアルロン酸が結合することにより細胞に対するanabolic効果が加速するという系が存在するのではないかと考えられる。今回の結果から軟骨細胞の代謝において低酸素環境は大変重要な因子であり、今回のヒアルロン酸のように定常酸素下と低酸素環境下では薬理動態が異なる薬物がある可能性がある。また、これまでわれわれが研究してきた物理刺激に関しても、低酸素環境では異なる代謝経路が働いている可能性があり、今後解析を続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一時低酸素インキュベーターの故障により研究が滞った時期があり、1年間研究を延長し、低酸素環境と定常酸素環境で変化する代謝について解析を続ける。
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今後の研究の推進方策 |
低酸素環境と定常酸素環境で変化する代謝について解析を続ける。薬物に加え、他の物理刺激についても発現変化があるかの確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
低酸素インキュベーターの故障があり、修理期間により実験が滞った時期があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬などの購入に充てる予定である.
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