研究実績の概要 |
活動性の関節リウマチ(RA)の滑膜組織ではTh1, Th17などT細胞由来の炎症性サイトカインであるIFN-γ, IL-17や、マクロファージ由来のTNF-αが関節破壊の中心的な役割を果たしており、臨床的にTNF阻害薬(TNFi)の治療効果は極めて大きい。本年度は、RA滑膜におけるIL-17, IFN-γ, TNF-αの発現量の相関を解析し、TNFiがこれらのサイトカインの発現に及ぼす影響を検討した。 RA患者20例20関節から手術時に採取した滑膜を用いた(TNFi群:10関節、非TNFi群:10関節)。RNA抽出後、IL-17, IFN-γ, TNF-αに対するTaqMan probeを用いてリアルタイムPCRを行い、各サイトカイン間の発現量の相関、TNFi群と非TNFi群間の各サイトカインの発現量について統計学的解析を行った。 TNF-αはTNFiの有無に関わらず20関節中14関節(70%)に認められた。TNF-αの発現量はIFN-γと強い相関を認めたが(r = 0.659, p = 0.002)、IL-17 とは相関を認めなかった(r = -0.304, p = 0.192)。なお、IFN-γとIL-17の間には相関を認めなかった(r = -0.297, p = 0.204)。また、IL-17, IFN-γ, TNF-αのいずれもTNFi群と非TNFi群間で発現量に有意差を認めなかった。
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