研究実績の概要 |
変形性関節症の病因・病態に関与するメカニカルストレスに対して、軟骨細胞がどのように応答するか(ストレス応答機構)については、未だ不明な点が多い。我々はこれまでの研究から、軟骨変性には細胞のDNA損傷、その防御因子(DNA修復酵素)の発現変化および細胞エネルギー代謝調節機構の変化が関与することを明らかにして報告してきた。これらの研究成果・基盤から我々は、変形性関節症の発症には加齢に伴う軟骨基質マトリックスの組成変化に加えて、肥満や荷重等のメカニカルストレスに伴って誘導される炎症や酸化ストレスの蓄積が関与し、これが軟骨細胞のDNA損傷や軟骨基質の変性を引き起こすことと仮説しして一連の研究を進めてきた。平成23~28年度科研費基盤研究の成果として我々は、変形性関節症の発症の主要因と考えられる軟骨へのメカニカルストレスによって生じる過剰な活性酸素種の発生機序と抗酸化剤の治療効果、ならびにDNA損傷、DNA損傷修復酵素活性の変化および軟骨変性機序との関連について研究を進めて報告した(Int. J Molecular Science, 15(9), 14921-34, 2014; 国際変形性関節症学会2014, 2015; J. Osteoarthritis, 1(2), Epub 1000115, 2016; Int. J Molecular Science, 17(7), Epub 17071019, 2016)。
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