研究課題
一部昨年度の結果をさらに追試した。体重300-350(青年)g のオレキシン(OX) が欠落する特性を持つOX 遺伝子改変(TG)ラット及び、同腹の雄性野生種(WT)ラットを対象とし、ケタミン(15mg/kg:鎮痛量)を腹腔内投与、Hotplate testを施行した。両者で潜時の比較を投与後のarea under curve及びmaximum possible effect: (post-pre/cut off time-pre)x100を定量、両者の反応差異を検討した。ケタミン(100mg/kg:全身麻酔量)を腹腔内投与、正向反射を指標として麻酔時間を測定TGラットとWT ラットの麻酔時間に差異も検討した。結果、TGラットはWTラットに比べ、ケタミンの鎮痛作用が減弱した。麻酔時間に関してはTGラットの麻酔時間はWTラットに比較して短縮した。OXは鎮痛作用を有するため、合理的である。脳内OX含量と鎮痛度との相関も認められた。麻酔時間とNA含量は相関関係が見られた。以前の我々の報告1)ではケタミン麻酔には中枢NA神経活性が正の相関をしていた。今回の結果はこの報告と矛盾はなく昨年度の知見を再現できた。他方、麻酔後の睡眠変化を内因性睡眠関連物質との関連において検討した。野生種のSD(体重300-350g)に対し、ケタミン(100mg/kg)またはプロポフォール(80mg/kg)を腹腔内投与し、麻酔前後の睡眠の変化を検討した。その結果、ケタミン群では麻酔後に睡眠が減少し、プロポフォール群では睡眠が増加した。また、ケタミン群では翌日以降睡眠が反跳的に増加した。これらの睡眠の変化は麻酔薬によるOX(覚醒誘導物質)とMelanin-Concentrating Hormone(睡眠誘導物質)の脳内の変化と一致していた。1.Kushikata T, Yoshida H, Kudo M, Kudo T, Kudo T, Hirota K. Role of coerulean noradrenergic neurones in general anaesthesia in rats. Br J Anaesth 2011. 107:924-9
3: やや遅れている
吸入麻酔薬の検討に関しては排気装置を検討中で未完である。In vivo、 in vitro両面からオレキシン欠損ラットの麻酔、鎮痛に関する関与を欠損ラットと対応する野生種において正向反射を指標とした麻酔時間、.Hotplateの潜時の比較オレキシン、ノルアドレナリン含量と麻酔時間及びHotplateの潜時との相関関係の面から多面的に検討できている。それに加えて、野生種で、その他の内因性活性物質であるMelanin-Concentrating HormoneとOXと麻酔後の睡眠変化について代表的な静脈麻酔薬であるケタミン、プロポフォールについても検討を行った。
研究計画に従い、実施予定
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