研究課題/領域番号 |
26462327
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
櫛方 哲也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80250603)
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研究分担者 |
廣田 和美 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20238413)
丹羽 英智 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20374845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 麻酔 / 鎮痛 / 睡眠 / オレキシン / MCH / ノルアドレナリン / ERAS |
研究実績の概要 |
麻酔後の睡眠変化を内因性睡眠関連物質との関連において検討した。オレキシン(OX) が欠落する特性を持つOX 遺伝子改変(TG)ラット(体重300-450g)に対し、ケタミン(100mg/kg)を腹腔内投与し、麻酔前後の睡眠の変化を検討した。ケタミンの麻酔時間は野生種に比較して短縮傾向にあった。ケタミン麻酔覚醒後は野生種と同様に行動上、また脳波所見上ともに覚醒状態が暫く続いた。通常ラットの1時間当たりの睡眠・覚醒の割合は明期では覚醒が35%、ノンレム睡眠が50%、レム睡眠が15%とされ、一方暗期では覚醒が55%、ノンレム睡眠が35%、レム睡眠が10%とされる。何れにしてもヒトと異なり1時間当たり覚醒もしくは睡眠が100%になるということは通常は見られない。ところがケタミン麻酔から覚醒後は上記のように覚醒状態が継続した。野生型ではケタミン麻酔覚醒後から再び脳波上ノンレム睡眠が観られるまでの時間(ノンレム潜時)は174.5+/-26.4分、ケタミン麻酔覚醒後から再び脳波上レム睡眠が観られるまでの時間(レム潜時)は243.4+/-110.0分であった。即ち通常の睡眠が再現するまで3時間近く覚醒状態が続いた。これは生理的状態では見られない現象である。また、プロポフォール麻酔後でも観察されなかった。OX 遺伝子改変(TG)ラットではノンレム潜時は272.5+/-23.7分(P<0.0001)、レム潜時は388.7+/-70.7(P<0.05)と野生型に比較して更に延長した。この結果はケタミン麻酔が通常の睡眠を変調させ、オレキシンの欠落は更にこの変化を助長することを示唆している。 ケタミンの麻酔時間, 中枢NA神経活性、ケタミン麻酔時間はTGラットで短縮傾向であった。ケタミン麻酔時間は中枢NA神経活性と相関する。TGラットにおいても活性をヨヒンビンで増加と共にケタミンの麻酔時間が延長した。
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