麻酔薬の脊髄における不動化機序の解明は麻酔管理を行う上で重要であるが、前角ニューロンにおけるその機序は明らかではない。さらに、術中の脊髄虚血に対する麻酔薬の保護作用も不明である。本研究では麻酔薬の前角ニューロンにおける作用機序を解析した。 前角ニューロンにおいて、亜酸化窒素はグルタミン酸による興奮性シナプス後電流を抑制させた。その一方、揮発性麻酔薬はガンマアミノ酪酸による抑制性シナプス後電流を増強させた。さらに、脊髄に虚血負荷を与えた結果、亜酸化窒素と揮発性麻酔薬とも細胞死に至るまでの時間を延長させた。これにより麻酔薬が前角ニューロンにおいて虚血耐性作用を有することが明らかになった。
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