研究課題
生体は手術、外傷、ショックなどの侵襲を受けると様々なストレス反応を示すことが知られている。過大な侵害刺激を受けると、容易に全身性炎症反応症候群 (systemic inflammatory response syndrome; SIRS) が惹起される。そして SIRS から周術期心筋虚血や敗血症,多臓器不全に陥ることが知られている。一方、ストレス蛋白質(heat shock protein;HSP)は生体において生体防御という極めて重要な役割を担っていることは良く知られている。循環虚脱を招くことのある過大な侵襲に対して、生体は心血管系、血液凝固系におけるストレス反応を起こすがその詳細は明らかではない。私共は既に血小板をコラーゲンで刺激すると、p38 MAPキナーゼの活性化を経てHSP27のリン酸化が誘導されること、そのリン酸化に伴い血小板からplatelet-derived growth factor-AB (PDGF-AB)および可溶型CD40 (sCD40) ligandが分泌・遊離されること、加えて、細胞内でリン酸化されたHSP27も遊離されることを明らかとしている。一方、脂質メディエーターであるsphigosine 1-phosphateは、血小板が巨核球から産生されるときに、重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、成熟血小板でのsphigosine 1-phosphate の役割の詳細は明らかとされていない。今回、コラーゲンによる血小板活性化に対するsphigosine 1-phosphate の影響の検討を行った。その結果、ヒト血小板においてsphigosine 1-phosphate はコラーゲン刺激による血小板凝集、HSP27のリン酸化、血小板からのPDGF-AB分泌およびリン酸化HSP27遊離を制御していることを明らかとした。
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