研究課題/領域番号 |
26462343
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
徐 民恵 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60381886)
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研究分担者 |
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90264738)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水チャネル / 感染症 / 高次脳機能 |
研究実績の概要 |
重症感染症に伴う高次脳機能障害は、患者の社会復帰を妨げ、入院期間延長など社会的な不利益も大きいが、これまで十分な対策や治療法確立は行われていない。そこで、本研究課題では、重症感染症に伴う高次脳機能障害の発生機序を明らかにし、新たな治療戦略を確立することを目的とする。 該当年度は、まずアクアポリン9(以下AQP9)の中枢神経における発現調節を解析した。培養アストロサイトにおけるAQP9の発現をmRNAはRT-PCRで、蛋白質はウエスタンブロットにより定量的に測定し、量測定系が問題なく機能することを確認した。次に、培養アストロサイトにエンドトキシン、TNF-α、IL-1、IL-6を投与し、同様にAQP9も発現量を測定した。現在のところ、エンドトキシンとTNF-αによりAQP9の発現が低下することが確認できた。現在、さらに結果を確定するべく実験を継続しているが、炎症によりAQP9が低下することにより、脳内へのエネルギー供給の低下や乳酸代謝の異常が生じることにより、脳内炎症時には恒常性が破たんする可能性が示唆された。このAQP9低下はプロテインキナーゼAが関与する可能性が明らかとなった。 次に、敗血症マウスモデルの確立を行った。モデルは、C57BL/6マウスの盲腸を結紮後穿刺し、腹膜炎を発症させた。安定したモデルの作成が可能になったため、今後は高次脳機能の測定と脳におけるAQP9の発現を検討し、それぞれの関連性を検討する予定であり、安定したモデルの作成は、今後の実験を円滑に遂行するためには役に立つと推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、(1)培養アストロサイトにおける炎症によるAQP9発現の変化の検討、(2)敗血症マウスにおける脳内AQP9発現の変化と高次脳機能障害への関与の検討、であった。(1)はほぼ終了しており、(2)はモデルの作成は終了していることから約50%の進捗状況である。総合すると70%強の過程は終了していると判断でき、おおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)培養アストロサイトにおける炎症によるAQP9発現の変化の検討、については、最終的に結果を確定する。(2)敗血症マウスにおける脳内AQP9発現の変化と高次脳機能障害への関与の検討、については、高次脳機能の測定と脳におけるAQP9の発現を検討し、それぞれの関連性を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル作成に時間を要したため、当初の計画にあった敗血症モデルマウスにおける脳内AQP9の測定等の実験が遂行できなかったため、予定額と使用額に差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
該当年度に遂行できなかった実験は、27年度の前半に行う予定としており、次年度使用額は速やかに消失する予定としている。
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