研究課題/領域番号 |
26462347
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
室園 美智博 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70276947)
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研究分担者 |
佐藤 永一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60408101)
武田 明子 東京医科大学, 医学部, 助教 (70421021)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳虚血 / 脳内トランスポーター / マウス |
研究実績の概要 |
脳内の物質輸送を担うP-glycoprotein(P-gp)は、血液脳関門(BBB)の一部とされているが、我々はmdr1a ノックアウトマウスと正常マウスでの虚血実験を行い比較したところ、P-gp は薬剤の脳内浸透を調節するだけでなく、その存在自体が脳虚血のダメージに影響することを突き止めた{ Murozono et al, Neurochem Res. 2009 34(9)}。さらにP-gp などの脳内輸送担体はアポトーシス関連物質やサイトカインなどとも密接に相互作用を及ぼしており、P-gp 自体の脳組織内の局在的な特徴や働きから神経障害の大きさに影響していることが示唆されている{Fernadez et al. J. Pharm. Pharm. Sci. 2004, 7(3)} 。このP-gp の作用に関連して我々も調査した結果、脳虚血下でもIL-6 を中心としたサイトカインや、Bcl‐2 などのアポトーシス関連物質へのP-gp の影響が確認されている(第56 回日本麻酔科学会にて発表)。上記のように当研究室で積み上げてきた脳虚血に関する研究データを踏まえて、その作用をより効果的にコントロールすることで脳保護効果の強化を試みる。本年度も前年度同様、虚血実験モデルの作成に関する調整に時間が必要であった。結果、マウス虚血モデルの作成は確立し、脳組織染色なども可能となった。ここからは、調査したアポトーシス関連物質やサイトカインの結果を検討し、更に拡大して検索する。また脳虚血時にP-gpが脳障害を助長するメカニズムを解読した上で、現在存在する強力なP-gp inihibitor やこれまで開発されてきた脳保護剤を複数活用し、脳保護作用のいかなる効果の差を生じるかを調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究室の移動に伴い、マウス脳虚血モデル作成や脳組織染色のための器具調整に時間が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
脳内トランスポーターであるP-glycoproteinに関する脳虚血への影響を踏まえて、薬剤を活用しながら脳虚血ダメージを評価する。また脳虚血時における脳内トランスポーターの作用に関しても、これまでの研究成果を参考に追究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度において、組織染色に関する計画が実行されず試薬等の購入が行われなったことと、使用した実験動物(マウス)の数が予定より少なかったなどが原因。
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次年度使用額の使用計画 |
組織染色による評価での抗体や試薬の購入、マウス虚血モデルに投与する薬剤の購入そして虚血モデル用マウスの購入が本年度は前年度に比べて多くなるので、これらに次年度使用額をあてる予定。
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