研究課題/領域番号 |
26462354
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉山 陽子 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70444255)
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研究分担者 |
飯田 宏樹 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30159561)
田辺 久美子 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30402209)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気道上皮細胞 / タバコ煙抽出液 / MUC5AC / レゾルビンD2 |
研究実績の概要 |
培養気道上皮細胞のNCI-H292細胞を継代培養して実験に用いた。気道炎症のfirst stepとなる気道粘液(ムチン)産生が喫煙により増加するといわれているためタバコ煙抽出液による刺激での気道粘液発生を気道炎症のポジティブコントロールとして用い、炎症惹起後のリゾルビンD2(炎症収束因子として知られる物質)の産生・分泌の経時変化を検討しようとした。 タバコ煙抽出液を作製し、スロットブロット法を用いて気道における分泌型ムチンの一種であるMUC5ACの産生を測定した。NCI-H292細胞の培養液中にタバコ煙抽出液を加えて16時間刺激すると濃度依存性にMUC5ACの産生・分泌の増加が確認されたものの、細胞の継代を進めるにしたがい、MUC5ACの増加現象に再現性が見られなくなり一定した結果が得られなくなってしまった。そのため、タバコ煙抽出液の作製方法や刺激濃度・時間を調整したり、MUC5AC検出のためのスロットブロット法の条件や、NCI-H292細胞の培養条件を調整したり、異なるロットの凍結細胞や早い継代数での細胞を使用してみたりしたが、以前得られていたMUC5AC増加量よりも変化量が少ないままであった。文献検索や学会での情報収集に努めたが原因は明らかにできなかった。リゾルビンD2の産生について、ELISAキットを用いて測定したが、有意な変化はみられなかった。リゾルビンについては実験操作中の技術的問題により測定ができていなかった可能性があるが、細胞の状態にも信頼性が得られなかったため、予定していたGABAB受容体刺激薬等を使用して行う実験を遂行できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
以前からの当研究施設での研究結果や文献報告による気道炎症の現象が、平成26年度に我々が使用していた細胞と実験条件では、一定した結果として得られなかったため、その原因検索に時間を費やした。 また、平成26年度は臨床業務内容の変更などにともない、研究エフォートの割合が予定していたよりもかなり減少してしまったため十分な実験を行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を新しく購入して実験する。また、初代培養の気道上皮細胞を使用して、平成26年度に計画していた実験をおこなう予定とする。 平成27年度もタバコ煙抽出液での炎症惹起で一定した結果が得られない場合はTNFaといった炎症性サイトカインなど、さらに強力な炎症惹起物質の刺激による細胞内シグナルの変化とレゾルビンの産生を測定する。 レゾルビンEやDを直接細胞に投与したときの炎症性シグナルの変化を測定し、その変化にGABAB受容体拮抗薬や刺激薬がどう影響するかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の初期段階で生じた問題を解決するために時間を割いた結果、予定していた実験内容をすべておこなうに至らなかったため、購入予定であった実験試薬や細胞培養試薬などを購入しなかった。また、大学での業務内容変更にともない、研究時間が予定していたよりも少なかったことから次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度でも使用している実験試薬、および細胞内シグナル解明のためのELISAキット、抗体の購入、ウェスタンブロット法やRT-PCR法に使用する試薬類、および新たに培養気道上皮細胞株(NCI-H292)とヒト正常気道上皮細胞購入およびそれらの培養に要する経費に使用する予定。
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