研究課題/領域番号 |
26462365
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松本 重清 大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / ビタミンC / 副腎機能 / 敗血症 |
研究実績の概要 |
ヒトと同様にビタミンCを合成できないSMP30遺伝子破壊マウスの院内への受け入れが遅れているため、通常のマウスに対する研究が主体となった。Lipopolysaccharide (LPS)を10μg/kg投与して敗血症モデルを作成し、LPS投与30分後にビタミンC 200mg/kgを腹腔内投与した群(投与群)とLPS投与30分後に同量の生理食塩水(生食)を腹腔内投与した群(非投与群)とした。さらに通常マウスに生食投与30分後にビタミンC 200mg/kgを腹腔内投与した群(対照投与群)と生食投与30分後に同量の生食を腹腔内投与した群(対照非投与群)についても検討した。 4群のモデル作成24時間後にセボフルラン麻酔下に開胸して心臓より採血し血清を-80 ℃で凍結保存。血清中のビタミンC濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定。残った血清にて、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)、下垂体前葉ホルモン(ACTH)、下垂体後葉ホルモン(バソプレシン)、副腎髄質ホルモン(ノルエピネフリン)、酸化ストレスの指標(8-OHdG)をELISA 法あるいはEIA 法にて測定。さらにバイオラッド社製Bio-Plex(大分大学現有)を用いて、血清や組織中のリン酸化タンパク質並びにサイトカイン・ケモカインの発現変化を網羅的に解析する予定であるが、まだ測定には至っていない。 擬死直後に肝、肺、腎の順に摘出し、液体窒素で凍結後に-80 ℃で凍結保存。一部は摘出後にホルマリンで固定し、後にHE染色を行い、臓器障害の程度を評価する予定である。 24時間後の生存率に関しては、ビタミンC投与群は非投与群よりも有意に上昇した。 各種測定値や組織所見を4群間で比較することにより、ビタミンCが視床下部ー下垂体ー副腎(HPA)系ホルモンや酸化ストレスや炎症反応に与える影響を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
都健康長寿医療センター研究所・分子老化制御の石神昭人先生から提供していただくことが確約されている、ヒトと同様にビタミンCを合成できないSMP30遺伝子破壊マウスの当大学への受け入れが遅れているため、ビタミンCがHPA系ホルモンや酸化ストレスや炎症反応に与える影響を検証ができていない。 理由は当講座で遺伝子組換え研究を担当していたスタッフが退職したことと、昨年夏から腰椎椎間板ヘルニア術後再発にて腰痛が悪化し、秋に再手術を行ったためである。 現在、体調は全快し、受け入れに向けての準備を進めており、夏にはSMP30遺伝子破壊マウスを受け入れて、実験することが可能になると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
夏までには、都健康長寿医療センター研究所・分子老化制御の石神昭人先生から、ヒトと同様にビタミンCを合成できないSMP30遺伝子破壊マウスを当大学へ受け入れて、早急にビタミンCがHPA系ホルモンや酸化ストレスや炎症反応に与える影響を検証する。 それまでは、通常マウスにて作成した4群(投与群、非投与群、対照投与群、対照非投与群)の凍結保存されたサンプルを用いて、血清中のビタミンC濃度を高速液体クロマトグラフィーにて測定し、コルチゾール、ACTH、バソプレシン、ノルエピネフリン、8-OHdGをELISA 法あるいはEIA 法にて測定する。さらに、またホルマリン固定や凍結保存されたサンプルにより組織学的検討も行う。バイオラッド社製Bio-Plexを用いて、血清や組織中のリン酸化タンパク質並びにサイトカイン・ケモカインの発現変化を網羅的に解析する。 これらの結果を総合して、通常マウスのLPS敗血症モデルにおいて、ビタミンCがHPA系ホルモンや酸化ストレスや炎症反応に与える影響を検証し、ビタミンC投与が24時間後の生存率を改善した理由を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SMP30遺伝子破壊マウスの当大学への受け入れが遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
SMP30遺伝子破壊マウスは、夏までには当大学へ受け入れることが可能であり、その輸送費用も含め、主に各種サンプルに対する解析で、前年度未使用額を使用する予定である。
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