ETS-GSのESRによるin vitroの検討を行い、物質特性としての抗酸化能の評価を行っているが、生体内での抗酸化作用を数値化して評価する試みは、依然として難渋している。昨年度に続き、部分体外循環を利用し、ESRによるラジカル測定をリアルタイムで測定する試みは、今年度も有効なデータ収集が困難であった。理由として、部分体外循環そのものが動物に大きな侵害刺激をもたらし、測定器への接続するために体外循環部分のルートが長くなり、結果として体外循環持続そのものが困難であったことが挙げられる。また、定点観測においても、ラジカル検出を認めず、CYPMPOの生体内での不安定性がラジカル検出に影響を与えている可能性やヒドロキシルラジカルといった非常に短命なラジカル検は、生体内で有効な検出感度がなかったことなどが考えられる。 また 蘇生モデルに関しては、引き続き呼吸停止による蘇生モデル、脱血、送血を用いた蘇生モデルで、ETS-GSによる改善効果を検討行なった。以前と同様のプロトコールでの呼吸停止蘇生モデルであるが、コントロールとともに生存期間が短く、ETSの投与による病態や生存率の改善効果は認めなかった。また、脱血、送血による蘇生モデルの作成、ETS投与効果については、蘇生モデルとして、生存率、血行動態の安定化には至らなかったが、さらなる検討により、体温調整や、輸血施行を行うことで、今後モデルの確立が見込まれる状況である。
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