研究実績の概要 |
これまで、臓器保護効果を示す亜硝酸塩濃度の検討を行い、ショックモデルにおいて1mg/kgが有効であることを確認した。また、新規代用血漿剤である中分子HES製剤の出血性ショックに対する保護効果に関する検討を行い、晶質液と比較して血行動態維持効果が著明であること、出血性ショックによるTNF-α、IL-6, IL-1βなどの炎症性サイトカインの上昇を抑制すること、乳酸値の上昇やBase Excessの低下を抑制することを明らかにした。また、膠質液として広く用いられているアルブミンとの比較では、同等の血行動態維持効果を示すだけでなく、末梢臓器における臓器保護効果を示し、血液流動性については、代用血漿剤がより効果的であることを明らかにし、札幌医学雑誌に原著論文として発表した。 臓器保護効果を示した亜硝酸塩を含有した新規代用血漿剤と新規代用血漿材単独が出血性ショックに対し与える影響について比較検討を行なった。代用血漿剤単独よりも亜硝酸塩を添加した場合は、出血性ショックにおける炎症反応をさらに制御した。毛細血管から血漿成分漏出の指標となる血管内皮細胞増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor;VEGF)の変化を比較検討したところ、亜硝酸塩含有血漿剤ではVEGFの上昇が抑制されたことから、血漿製剤単独よりもより効果的な蘇生輸液が可能となることが示唆された。現在、本研究を継続するとともに、論文作成を同時進行している。
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