手術の安全性は向上してきたが、一方で回復が不十分で社会復帰できないという患者も増えている。手術からの十分な回復を可能にする治療戦略が求められている。その治療戦略の確立に向けて、基礎・臨床の両面から研究を行なった。臨床面では、手術患者は大きな酸化ストレスを受ける事を明らかにした。さらに、手術患者の血液中総過酸化脂質量が術後合併症発症の予測因子になる可能性を明らかにした。基礎研究では、局所麻酔薬は強い抗酸化作用を持つ事を明らかにし、局所麻酔薬を用いる事により手術に伴う酸化ストレスを制御できる可能性を示した。さらに、局所麻酔薬に低分子デキストランを添加すると、その作用を安全に増強できる事も発見した。
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