研究課題/領域番号 |
26462373
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
市川 順子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60318144)
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研究分担者 |
西山 圭子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00155532)
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60178332)
小高 光晴 東京女子医科大学, 医学部, 臨床教授 (90280635)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 赤血球流動挙動 / 血液凝固機能 / 体外循環 / 心臓手術 |
研究実績の概要 |
体外循環使用の心臓手術に焦点をあて、赤血球の流動挙動、血液凝固機能、それに派生する抗線溶薬やフィブリノゲン濃度測定法の問題につき研究を行った。体外循環開始により赤血球の形態が一部、円盤形から有棘状に変化したが、変形能や赤血球恒数、密度勾配は基準値と比較して有意な差は生じなかった。赤血球変形能の低下は、体外循環導入ではなく、濃厚赤血球製剤投与に関連し、赤血球の小型化、比重の増加という生化学的変化も生じた。体外循環開始後の有棘状の変化は、血液希釈、低体温、人工心肺回路との接触など急激な環境の変化によるものと考えた。人工心肺導入後のヘパリン濃度はプロトロンビン時間(PT)値と相関し、PT値とフィブリノゲン値は負の相関を認めた。人工心肺中の高濃度ヘパリン下においても、凝固機能は活性化し、F1+2、TATなどは有意に増加し、高濃度ヘパリンによるPT延長はPT法によるフィブリノゲン濃度に影響を与えた。血餅の形成・退縮過程を経時的に評価し、血小板やフィブリン、線溶機能を測定できるトロンボエラストメトリー(ROTEM)を用いて、人工心肺使用の心臓手術における凝固機能を評価した。ROTEMに基づいた新鮮凍結血漿(FFP)投与により、周術期の赤血球製剤使用量は減少し、術中・術後のFFP必要量は減少し、術後24時間での出血は有意に減少し、在院日数は有意に短縮した。ROTEM使用により、血液凝固機能を評価でき、血液製剤使用の時期、量の適正化を図れた。心臓手術中に用いるトラネキサム酸(TA)の抗線溶効果をプロテインC活性化して、血管内の凝固や炎症に対して抑制的に機能するトロンボモジュリン(TM)と比較検討した。2nMのtPAによる線溶亢進をTAは濃度差にかかわらず完全に抑制し、TM添加は、血餅溶解時間を有意に延長しtPAによる線溶亢進を抑制したが、どの濃度においても線溶抑制作用は弱かった。
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