研究課題/領域番号 |
26462374
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小高 光晴 東京女子医科大学, 医学部, 臨床教授 (90280635)
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研究分担者 |
西山 圭子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00155532)
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60178332)
市川 順子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60318144)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心臓麻酔 / 輸血削減 / ポイントオブケア / フィブリノゲン |
研究実績の概要 |
目的:近年、血液凝固管理の指標としてポイントオブケア(以下POC)の有用性が多く報告されている。当院でも2つのPOC(ROTEMとヘプコンHMS)を使用し輸血削減や入院日数の短縮に成功した。しかし、多くのPOCは機器や維持費が高額なため、日本では広く普及に至っていない。今回我々は厚生労働省の輸血指針のみを活用した場合とPOCを活用した場合の二通りの測定方法を比較して両者の輸血、出血削減効果に差があるか否かを前向きに検討した。 対象と方法:人工心肺を用いる心臓手術患者20名を対照群(厚労省基準)とPOC群(ROTEMTMとヘプコンHMS)の2群に分けた。対照群は目標ヘモグロビン9~10g/dl、フィブリノゲン150~200㎎/dl、血小板数5~10万とした。POC群においてヘパリン・プロタミン量はHMSで、血小板とフィブリノゲンはROTEMのFIBTEMやEXTEMのAmplitude 10分(A10)正常値を目標とし、ヘモグロビン値は対照群と同等とした。採血ポイントは入室、人工心肺開始時と離脱時、手術終了時の4ポイントで、アウトカムは術中・術後出血量や術中輸血使用量とした。 結果と考察:患者背景、手術種類・時間で両群間に有意差は見られなかった。また術中・術後出血量や輸血量に両群間でも有意差は認められなかった。最近ではROTEM測定値とフィブリノゲン・血小板数を対比させた報告も多くなりPOCがなくともデータ推移値のが予想しやすい。従って、血算やフィブリノゲンなどの厚労省基準だけでの対応でも輸血管理上問題がない可能性が本研究で示唆された。しかし、研究はまだ途中過程であり、この結果はタイプ2エラー(症例不足)の可能性もある。現在、データ収集中であるが最終的には100例を目標とし、より多いn数にて検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、データ収集済みの症例数は約20例であるが、最終的に100例としたい。現時点では対照群とポイントオブケア群に有意差はないが、今後n数が増加すると、どのように結果が変わるかわからない。しかし、過去の前向き研究を鑑みると、ほとんどの報告が100例程度であるので、この数字を目安にデータ収集をしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
もしポイントオブケアを使わず、厚労省基準で輸血製剤の種類や量を決定しても、ポイントオブケアと同等の輸血削減効果が見られた場合は、この結果を広く全国に広めていきたい。
結果、高額なポイントオブケア機器を購入しなくても正しいタイミングで一般的な中央検査値(血算、フィブリノゲン)を得られれば、心臓手術において十分な輸血削減効果が得られ、日本全体での心臓手術における輸血消費量削減に役立つ可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究解析用デスクトップパソコンを購入したが198000円のため、本年度残金118214円と不足のため、次年度支払い予定とし残金持ち越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記パソコン代と本研究結果を2016年米国麻酔学会にて発表するするための旅費として使用予定。
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