研究課題/領域番号 |
26462379
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
山崎 光章 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (70158145)
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研究分担者 |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40318613)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 睡眠 / 脳波 / セロトニン / アミトリプチリン / スボレキサント |
研究実績の概要 |
2ヶ月齢の雄性マウスを用い、イソフルラン麻酔下に片側坐骨神経を半周結紮し、神経障害性疼痛モデルを作成した。このモデルにおいて、足底熱刺激法(熱痛覚過敏の測定)、von Frey filamentによるアロディニア測定を行った。このモデルでは、4週間以上にわたり神経障害性疼痛が持続することを確認した。また、坐骨神経結紮後に全身麻酔下にマウスを定位脳固定装置に固定後、脳波測定用ヘッドマウントを頭蓋骨に、筋電図測定用電極を僧帽筋に装着し、その後24時間にわたり脳波と筋電図を測定し、一日をwake期, non-REM期、REM期に分類した。これまでの研究で、神経障害性疼痛モデルでは、wake期の増加とREM期、non-REM期の低下を認めている。 抗うつ薬であるアミトリプチリンを坐骨結紮7~9日目に投与したところ、神経障害性疼痛によって増加したwake期と減少したnon-REM期を回復させることが明らかとなった。また、アミトリプチリンは睡眠初期に認められるlight sleepをdeep sleepへと変化させることも明らかとなった。アミトリプチリンには、いろいろな神経伝達物資受容体の拮抗作用、チャネルの遮断作用などがあるが、その中でも、以前報告した神経障害性疼痛による縫線核セロトニン神経の活性化を抑制するのではないかと推定された。 視床下部に存在する上位覚醒中枢であるオレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントを同様に坐骨神経結紮7日目から1週間投与後に計測したところ、神経障害性疼痛によって減少したnon REM期、REM期をスボレキサントは回復させた。神経障害性疼痛によって活性化されたオレキシン神経をスボレキサントは抑制する可能性が推定される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた分子生物学的研究が順調にはかどらず結果がでていないが、脳波測定による研究は順調に遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床では運動療法によって、慢性疼痛並びに神経障害性疼痛によって生ずる睡眠障害への改善が期待されている。そこで動物モデルに運動を行わせ、実際に慢性痛並びに睡眠障害が改善されるかどうか、疼痛測定や脳波測定を中心に検討していきたい。また、抗うつ薬やスボレキサントによって改善される神経障害性疼痛に伴う睡眠障害のメカニズムをより詳細に検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額6,889円と少額であり購入する物品を買うことが出来なかったため、次年度の予算に入れ、物品購入費として活用したい。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物の運動装置購入の予算としたい。
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