研究課題
8週齢の雄性マウスを用い、イソフルランによる全身麻酔下に片側坐骨神経を結紮することによって神経障害性疼痛マウスモデルを作成した。このモデルにおいて、4週間以上にわたり神経障害性疼痛が持続することを確認した。また坐骨神経結紮後に全身麻酔下にマウスを定位脳固定装置に固定後、脳波測定用ヘッドマウントを頭蓋骨に、筋電図測定用電極を僧帽筋に装着し、脳波と筋電図を測定した。次に、オレキシン受容体(オレキシン1および2受容体)拮抗薬を投与し、脳波の測定により睡眠状態を解析した。神経障害性疼痛モデル動物では総睡眠量の低下を認めたが、オレキシン受容体拮抗薬投与によって睡眠量の改善を認めた。また、一週間連続投与を行った後も同様に睡眠量の改善を認めた。また、オレキシン受容体拮抗薬投与直後に痛み行動に関する試験(Planter testおよびvon Frey test)を行ったところ、対照群に比べ痛み反応の低下を認めた。しかし、一週間の連続投与を行った後に痛み行動試験では、対照群と同様の痛み反応を認めた。本研究において、オレキシン受容体拮抗薬によって神経障害痛によって引き起こされた二次性の睡眠障害に対する改善効果を認めた。さらに、一週間の連続投与を行った後も睡眠量の改善を認めたことから、オレキシン受容体拮抗薬では薬物耐性による催眠効果の減弱が生じにくいことが示唆された。しかしながら、今回のプロトコールによって睡眠の改善ははかられたが、神経障害性疼痛の改善は得られなかったと考えられる。
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Endocrinology
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10.1210/en.2016-1404
ペインクリニック
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