研究課題/領域番号 |
26462382
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 健治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70359884)
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研究分担者 |
石川 慎一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00444662) [辞退]
五福 明夫 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20170475)
西江 宏行 岡山大学, 大学病院, 助教 (20379788)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知科学 / バーチャルリアリティ / 医療・福祉 |
研究実績の概要 |
提案研究では、レディメイド医療としてのオンデマンド鏡治療とオーダーメイド医療としてロボットアーム鏡治療を平行して行っている。 我々が最終的に目指すオンデマンド鏡治療は、患者が自宅のパソコンを用いてシステムのセッティングを行い、治療の開始から終了までをおこなう。治療中は患者一人である。看護師や医師からの治療に関連した声かけや指導が期待できない。そのため、オンデマンド鏡治療をスムースに行うためには、患者の治療への意欲を阻害する要因を減らすことが重要である。 平成26年度の研究実績としては、目標であった安価な市販機器によるインターフェイス開発については、「マイクロソフトのキネクト」を応用することでシステムを開発することができた。更にオンデマンド・バーチャルリアリティ鏡治療の、「複雑かつ手間のかかる手順」、「実感しづらい治療効果」、「終わりの見えない単調な治療」などの阻害要因をコンピューターのカプトロジーの概念を用いて解決するシステムも開発し、在宅患者で運用を開始することができた。これらのシステムの開発と運用は学会発表と論文化によって情報を発信している。 ロボットアーム鏡治療では、まず現行のVR鏡治療システムを応用して患側のロボットアームを健側動作で操作するシステムを完成させる。次に個々の患者の手や腕を忠実に再現した特殊樹脂製の複製品をロボットアームに装着して、手や腕の難治性疼痛患者で治療をおこなう予定である。限られた予算内でロボットアームを開発するため、中央西日本メディカル・イノベーション2015に我々のシステムを展示・発表し、特にロボットアーム技術について企業からの技術協力を提案した。患者の手や腕を忠実に再現した特殊樹脂製の複製品の作製するために3Dプリンターを購入し、取扱いなど基本的な操作の習得を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オンデマンド鏡治療では26年度中に安価な市販機器によるインターフェイス開発と治療ソフトのインターネットを介するダウンロードを可能とすることを目指していた。安価な市販機器によるインターフェイス開発は完了し、ソフトをインストールしたパソコンのシステムを患者自宅に設置することで、既に実働している。しかしより広くこの治療システムの普及を図るために欠かせないインターネットを介したソフトのダウンロードの部分が予定より遅れている。 ロボットアーム鏡治療では、26年度中に、現行のVR鏡治療システムを応用して患側のロボットアームを健側動作で操作するシステムを完成させることと、個々の患者の手や腕を忠実に再現した特殊樹脂製の複製品をロボットアームに装着し、手や腕の難治性疼痛患者で治療を開始することを目指していた。しかし現行のバーチャル空間での手や腕のスムースな動きをロボットアームで再現することが想定以上に難しく、開発が遅延している。同じく、患者の手や腕を忠実に再現した特殊樹脂製の複製品は3Dプリンターで作製することを目指して、準備を初めているが、ロボットアームの開発の遅れの影響もあり、こちらの開発も遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画に則り、研究を推進していく。 26年度に予定した一部について遅延が発生しているため、まず本年度はその遅延を取り戻し、火急に本年度に予定していた研究に移行する。 まずオンデマンド鏡治療の柱となる、治療ソフトのインターネットを介するダウンロードについてだが、オンデマンド鏡治療を実施するために必要なアプリケーションは、インターネット上から患者が自分でダウンロード可能な状態までは開発が完了している。本年度はアプケーション配布のためのサイトの開設や、配布に関連したライセンスの確認などを急ぐ。 一方、最も進捗が遅れているロボットアームの開発については、中央西日本メディカル・イノベーション2015における我々のプレゼンテーションに対する企業からの反応もあり、様々な可能性を検討し、完成を急ぐ。また、患者の手や腕を忠実に再現した特殊樹脂製の複製品についても、早急に試作を行い、個々の患者に対応できる作製しすてむの構築を急ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
<研究実績の概要>および<現在までの達成度>に既述したように、平成26年度の研究計画に遅延が発生しており、その結果、次年度使用額が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は平成26年度に計画していた研究に関連した開発を早急にすすめる予定であり、次年度使用額を用いて開発を完了する。
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