炎症と術後急性期の痛みの修飾機構の関連を、TRPA1欠損マウスをもちいて検討した。マウスの足底に切開創を作成し疼痛閾値、好中球の浸潤、マクロファージの極性を検討した。TRPA1欠損マウスでは、機械的刺激に対する疼痛閾値に有意差は認められなかった。しかし手術部位の好中球数はTRPA1欠損マウスで減少を認めた。M1マクロファージが術後2日目に減少しており、炎症後期に創傷治癒を促進するM2マクロファージも術後7日目に低下していた。TRPA1欠損マウスでは、TNF-αやCOX-2の産生が術後7日目に増加していることが判明した。術後痛と炎症性物質の産生量は術後後期には必ずしも一致しないことが判明した。
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