研究課題/領域番号 |
26462388
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土屋 邦彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (50374442)
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研究分担者 |
間石 奈湖 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00632423)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 准教授 (30399919)
篠原 信雄 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90250422)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎癌 / miRNA |
研究実績の概要 |
4種のヒト腫瘍 (腎がん、悪性黒色腫、口腔がん、脂肪肉腫)のヌードマウス皮下移植モデルから腫瘍血管内皮細胞と正常血管内皮細胞を分離培養した。腫瘍血管内皮細胞が正常な血管内皮細胞に比較して増殖が早く,遊走能が高いこと、染色体異常や薬剤抵抗性があるなど生物学的特性が異なることを明らかにした。さらに、ヒト正常腎組織及び腎癌組織から血管内皮細胞を分離・培養し、皮下移植モデル同様腎癌由来の血管内皮細胞が有意に染色体異常を認めることがわかった。また、がん細胞由来exosome にmiR-1246 が高発現すること、腫瘍血管内皮細胞の培養上清は、がん細胞の増殖・運動を亢進させることを見出した。近年、分泌されたexosome が他の細胞へ輸送されることを示唆する結果が報告されているだけでなく、我々もがん細胞由来exosome が血管内皮細胞へ輸送されることを確認した。これらの結果から、腫瘍血管内皮細胞由来miRNA がexosome を介してがん細胞へ輸送されることで、がんの増殖・運動を亢進させる可能性が考えられる。マウス・ヒトの異なるがん種から分離した腫瘍血管内皮細胞内で、共通して発現の変動するmRNA 及びmiRNA が存在することもわかった。ヒト正常腎組織及び腎がん組織から血管内皮細胞を分離・培養し、培養上清から超遠心法及び免疫沈降法を用いてexosome を単離しmiRNAを抽出した。免疫沈降におけるexosome の標識には、exosome の膜抗原として知られるCD9, CD63 の抗体を用いたマイクロアレイを用いてmiRNA の組成を解析するとともに腫瘍血管内皮細胞由来exosomeで高発現するmiRNA を検討中である。なお、肺癌患者血液検体から超遠心法を用いてexosome を単離することは出来ていて、腎癌患者血液検体での単離しmiRNAを抽出し解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
腎癌患者においての血中exosomal-miRNA の発現の解析が進んでいない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
①腎癌患者においての血中exosomal-miRNA の発現量と臨床情報との比較 ②マウス腎がん細胞株のマウス同種移植モデルにおける血中exosomal-miRNA の発現解析 ③ヒトメラノーマ細胞株のマウス異種移植モデルを用いた悪性度との相関比較
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次年度使用額が生じた理由 |
期待された研究成果を得ることが出来ておらず、次に予定していた実験に進めず次年度に研究費を持ち越しせざるを得ない状況にある。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬、細胞株、細胞培養液、抗体の購入などに主に使用する予定である。
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