研究課題
がん治療において新規分子標的薬の開発が盛んであるが、臨床の現場ではこれらの中から患者個別に効果のある薬剤を事前に推測することはできず、治療効果と予後の予測ができるマーカーは現時点で存在しない。平成28年度はがん患者血清を用いたbiglycanなどの腫瘍血管内皮マーカーの診断ツールとしての可能性について検討した.転移性腎がん患者血清中の症例数が解析に十分ではなかったため,多臓器がんの血清(肺がん患者)の血清37例をもちいて,腫瘍血管内皮細胞からの分泌タンパクであるbiglycan, PTX3, SBSNの血清中の濃度をELISAにより解析した.Biglycan ,SBSNについてはそれらの血中濃度とT因子,血管浸潤との間に有意な相関が見られたが,転移とは有意差はみられなかった.今後症例を増やして検討予定である.また,腎癌患者の血清についても現在北大病院バイオバンクと連携し検体採取バンキングを開始しており,これらの検体数が十分なものになった後に解析予定としている.さらに,血管新生阻害剤である分子標的薬治療により腫瘍血管内皮マーカーの発現がどのように変化するのかについても解析をおこなった.マウス腎癌移植モデルにおいてSunitinib により血管新生阻害療法を行い抗腫瘍効果と転移巣,さらに血中のBiglycan , PTX3, SBSNなどの分泌タンパクのレベルの推移をELISAにより解析した.また,免疫染色により,腫瘍血管内皮マーカーの発現の推移とともに,血管の数ならびに成熟度(周皮細胞の被覆や管腔の大きさ)などについても組織学的に解析を行った.分子標的薬による治療により,これら腫瘍血管内皮マーカーの血中のレベルが下がり腫瘍血管内皮由来因子が血管新生阻害療法中のバイオマーカーになり得る可能性が示唆された.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Anticancer Res
巻: in press ページ: ahead of print
10.21873/anticanres.11437
J Oral Biosci
巻: 59 ページ: 50-54
10.1016/j.job.2016.10.004
Scientific reports
巻: 4 ページ: -
10.1038/srep34625.
Urologic oncology
巻: 35 ページ: -
10.1016/j.urolonc.2016.08.016.
Pathology international
巻: 66 ページ: 687-694
10.1111/pin.12474
Hokkaido J. Dent. Sci.
巻: 37 ページ: 40-48
Sci Rep.
巻: 6 ページ: 1
10.1038/srep28039