研究実績の概要 |
1.アンドロゲン受容体の転写活性:アンドロゲン受容体(AR)およびダイオキシン受容体(AhR)を発現している前立腺癌細胞株 (LNCaP) にMMTV-Luzを発現させ、ルシフェラーゼアッセイをおこなった。各条件の細胞株のARおよびAhRの発現量(mRNA、タンパク)をそれぞれ定量的Real-time PCR法およびウエスタンブロット法で確認した。以上を、同様にアンドロゲンおよび各種ダイオキシン類(Indirubin, 3MC)の有無、また添加量を変えて検討を行った。結果としてダイオキシン類を投与した場合、用量依存的にアンドロゲン受容体の転写活性が低下することを確認した。これはプロテアソーム阻害剤により抑制されたことよりダイオキシン類のAR分解が関与していることが示唆された。LNCaP以外の前立腺癌細胞株(PC-3, DU-145, 22RV1)でも同様の試験をおこなった。 2.前立腺癌細胞株増殖:ARおよびAhR発現しているLNCaPを培養し、細胞数計測とMTTアッセイをおこなった。結果としてアンドロゲンの有無にかかわらず、ダイオキシン類添加により、用量依存的にホルモン依存性前立腺癌細胞の増殖が抑制された。LNCaP以外の前立腺癌細胞株でも同様の試験をおこなった。 3.ダイオキシン類のマウスへの投与(毒性の確認、致死量の推定):上記ダイオキシン類をいくつかの投与量にふってマウスに経口および経腹膜投与をおこない連日観察を施行中である。 4.前立腺癌におけるダイオキシン受容体の発現:パラフィン固定した前立腺手術組織検体でAhR抗体を用いて免疫組織染色を行いタンパク質レベルでの発現量をみる準備をしている。今後、前立腺癌の異型度や予後などの臨床的パラメーター(臨床病期、PSA値、組織分化度(グリーソンスコア)、予後(PSA再発))との相関の有無を検討中である。
|