研究実績の概要 |
本研究の目的は、がん特異的に目的遺伝子を発現するプロモーターを利用して、安全性を担保しながらがん細胞でのみ野生株と同等の抗腫瘍効果を発揮する、次世代の抗ガンウイルスを作成することにある。抗ガンウイルス治療に用いられるヘルペスウイルス(HSV-1)はがん特異性を持たせるためにウイルス遺伝子に操作が加えられたものだが、遺伝子操作されていない野生株と比較すると弱毒化してしまっている。そのため、ICP6遺伝子で元弱慕うウイルス副性能をがん細胞特異的に回復させて野生株と同等の抗腫瘍効果を発揮させる一方、正常細胞では増殖しない抗ガンウイルスの作成を目指すことが本研究の目的である。前立腺がんおよび腎がんでは検証済みで、膀胱がんや肉腫に対し特異的なウイルスの作成に成功した。in vitro, invivoでの抗腫瘍効果の検討を進めるまえに、構造確認や遺伝子配列の解析を行っている。 現在新規挿入領域のプロモーターおよびICP6領域の解析を中心に研究は進行している。制限酵素処理・電気泳動でのおおよその構造解析は進んでいるものの、遺伝子配列の解析は今後の課題となる。また、抗腫瘍効果を試す肉腫のcell lineの培養や動物モデルの作成を同時に行っており、そちらはウイルス解析が終了次第開始可能な状態となっている。
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