第三世代遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型はウイルス自体ががん細胞特異的に増殖して死滅させる新しい治療の最先端で、3つのウイルス遺伝子機能を欠落させ、高い安全性と強力なウイルス複製能を実現しすでに臨床試験を開始している。理論上欠落したICP6機能を代償する細胞の酵素活性に依存するため、緩徐に増殖する癌の一部ではウイルス複製能が低い可能性が残る。そこでICP6遺伝子をがん特異的プロモータで制御することにより、常に高いウイルス複製能を呈する新規HSV-1を開発した。緩徐に進行する癌にも高い治療効果を発揮する万能型HSV-1の開発は、癌治療におけるウイルス療法の実用化を更に促進すると期待される。
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