研究課題
本年度は、我々が作製した独自の前立腺癌関連線維芽細胞CAFsパネルを活用して、ヒト前立腺癌由来培養細胞株とのin vivo共移植実験系を構築した。昨年度に構築したin vitro共培養実験系にて、癌患者由来線維芽細胞との共培養でリガンド非依存的なアンドロゲン受容体ARの活性化が確認されたアンドロゲン低感受性E9細胞を単独で、もしくは癌患者由来線維芽細胞pcPrF-M5とI型コラーゲン中にて混合し、免疫不全雄ヌードマウス腎被膜下に移植した。移植から2週間後にホストマウスを去勢し、1週間ごとに血中前立腺特異抗原PSA値を測定した。移植から5週間後にホストマウスを屠殺し、腫瘍重量や体積を測定した。さらにホルマリン固定後に病理組織学的解析を施行した。E9細胞単独移植群およびpcPrF-M5との混合移植群の腫瘍増殖は去勢により停止したものの、去勢前に比べて顕著に縮小することはなかった。血中PSA値は両群ともに検出限界以下に低下することはなく、特にpcPrF-M5との混合移植群では去勢下でも経時的に血中PSA値が上昇することを確認した。腫瘍内E9細胞は間質の有無に関わらず、去勢から3週間経ってもARおよびPSAを発現していた。また、神経内分泌マーカーであるNSE発現E9細胞数は去勢後に増加することを見出した。腫瘍内微小血管数は間質の有無に関わらず、去勢による影響を受けなかった。以上の結果より、去勢抵抗性前立腺癌への進展には、①癌細胞が有するアンドロゲン感受性の強さと、②リガンド非依存的なARの活性化に関わる線維芽細胞との相互作用が重要な役割を担う可能性が示唆された。
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Journal of Cancer Research and Clinical Oncology
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